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ももへの手紙
（2012年 日本）（上映時間2時間）
原案・脚本・監督：沖浦啓之
声の出演：美山加恋、優香、西田敏行、坂口芳貞、谷育子、山寺宏一、チョー、
小川剛生、藤井晧太、橋本佳月
＊丸の内ルーブルほかにて全国公開
ホームページ http://momo-letter.jp/
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＜ストーリー＞
小学6年生の少女もも（美山加恋）は、母のいく子（優香）とともに親戚のいる
瀬戸内海の汐島に引っ越してくる。ケンカして和解しないまま父親が事故で他
界したももは、「ももへ」とだけ記された父の書きかけの手紙のことが頭から
離れず、父が本当は何を書きたかったのかを考えていた。そんなある日、彼女
は不思議な妖怪３人組イワ、カワ、マメと出会う。食いしん坊でわがままな彼
らに振り回されるももだったが……。
＜レビュー＞
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ファンタジーとリアルが融合した傷ついた少女の成長物語
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心に傷を負った少女と妖怪たちとの交流を描いたアニメです。
主人公は小学6年生の少女もも。母のいく子とともに瀬戸内海の汐島に引っ越し
て来た彼女は、ケンカして和解しないまま父親が事故死したことで、心に大き
な傷を負っています。しかも、父は「ももへ」とだけ記された書きかけの手紙
を遺し、ももは父が何を伝えたかったのか気になって仕方ありません。そんな
ある日、ももは不思議な妖怪３人組イワ、カワ、マメと出会います。
子供が異形の者とふれあい、成長していくというのはよくあるファンタジー話。
だが、この映画はそれだけではありません。
途中までは、ももの心の傷はあまり表に出ず、ユーモラスな妖怪たちとの交流
が生き生きと描かれます。大喰らいでワガママな彼らに手を焼きながらも、次
第に心を通わせるもも。イノシシとの追いかけっこをはじめファンタジーの魅
力が満載です。
ただし、妖怪たちが果たす役割はそれだけではありません。彼らの行動がきっ
かけで、ももと母いち子との間には決定的な亀裂が生まれ、お互いの心情がぶ
ちまけられます。それを２人はどう乗り越えていくのか。リアルな部分がドラ
マの前面に出てきます。
さらに、妖怪たちは実は「見守り組」として、ある目的で訪れたことが明らか
になります。それがももが持つ父の手紙と絡んで、ドラマに厚みを増します。
そして、ファンタジーとリアルが融合した圧巻のクライマックスへ。台風の中
で繰り広げられるももと妖怪たちの行動によって、ドラマはおおいに盛り上が
ります。それに続くラストは、後日談であるお祭りの船のシーン。思わず涙を
誘う感動的な場面です。
リアルとデフォルメが同居した絵も、この映画にはピッタリ。登場人物のキャ
ラクターが豊かに表現されています。水滴の使い方や、ももの成長を橋からの
飛び込みに託した設定なども、よく考えられています。
もも役の美山加恋、いち子役の優香という声のキャストが素晴らしい演技です。
西田敏行など妖怪たちの声も個性的。
楽しい妖怪ファンタジーと、ももの成長、母との確執と和解、亡き父との心の
交流などのリアルさを巧みにブレンドした物語。楽しく笑わせて、ちょっぴり
悲しくさせて、最後にはきちんと感動させてくれます。ここ最近の日本のアニ
メの中で、かなり上位にランクされる作品では？
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき（ぽち））
2012年4月26日（木）シネ・リーブル池袋にて。午後2時40分の回
[「も」のページ] |
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