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黄金を抱いて翔べ
（2012年 日本）（上映時間2時間9分）
監督：井筒和幸
出演：妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン、青木崇高、中
村ゆり、田口トモロヲ、鶴見辰吾、西田敏行
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.ougon-movie.jp/
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＜ストーリー＞
故郷の大阪に帰った幸田（妻夫木聡）は、旧友の北川（浅野忠信）から銀行本
店の地下にある金塊強奪計画を持ちかけられる。公園清掃係のジイちゃん（西
田敏行）、元北朝鮮工作員のモモ（チャンミン）など様々な人物が加わり、強
奪チームは総勢６名になる。だが、そんな彼らの前にいくつもの障害が立ちは
だかり、計画に暗雲が垂れこめる……。
＜レビュー＞
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危険な男たちの銀行襲撃計画をワイルドに描く
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高村薫のデビュー小説を井筒和幸監督が映画化した犯罪サスペンス。
描かれるのは銀行の地下金庫に眠る金塊強奪事件。その犯行の首謀者は幸田と
旧友の北川。そこに元労働運動の闘士の老人、元北朝鮮の工作員など、様々な
背景を持った人物が加わります。
彼らによる犯行の準備が描かれる前半から中盤。それぞれに事情を抱え、金に
目がくらんだ男たちのドス黒い思いがスクリーンを包みます。彼らのキャラを
立たせつつも、それぞれの人物像が複眼的に描かれます。
1990年の発表直後から映画化を希望していたという井筒監督だけに、この手の
原作ものにありがちな消化不良感はナシ。脚本も十分に練られています
主人公の幸田や北川はもちろんワケありの人物。しかし、それをクドクドと描
かずに、犯行計画の中でチラチラと見せていきます。直接的な犯行の動機もあ
まり描かれませんが、それがかえって彼らを不気味で怪しい人物に見せていま
す。
犯行の準備中に様々な横やりが入って……という展開は、ありがちなもの。し
かし、北の関係者らしき人物や、過激派などを巧みに絡ませて、少しも飽きさ
せません。（ただし、過激派や国鉄の労働運動の話は、さすがに時代的にちょ
っと厳しかったかな……）
井筒監督といえば、バイオレンス描写など荒々しいタッチが特徴。それが十分
に発揮されるのが後半。バイオレンスシーンや爆破シーンなど、犯行に遮二無
二突っ走る主人公たちを力強く描き出します。
クライマックスはスリリングな犯行シーン。あわやの場面も盛り込みつつ、ド
ラマを盛り上げます。犯人たちの計画が意外にずさんで荒っぽいのも、井筒監
督のタッチにはあっている気がします。
そして、その前後で描かれるのは破滅へのプレリュード。主人公の北川の過去
も入れ込みつつ、余韻の残るラストへつなげます。そういえば井筒監督は、た
しかアメリカン・ニューシネマが好きだという話が……。後半は明らかに、そ
れに似たテイストが感じられます。
多少は女性も登場するものの、基本は男たちのドラマ。破格のスリリング＆ワ
イルドさで犯罪映画としては上出来の部類。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年11月15日（木）丸の内ピカデリーにて。午後1時45分の回
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