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セイジ 陸の魚
（2011年 日本）（上映時間1時間48分）
監督：伊勢谷友介
出演：西島秀俊、森山未來、裕木奈江、新井浩文、渋川清彦、滝藤賢一、宮川
一朗太、二階堂智、津川雅彦
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://www.seiji-sakana.com/
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＜ストーリー＞
広告代理店で働く「僕」（森山未來）は、ある企画書を手にしたことから、20
年前に訪れた場所へと車を走らせる。バブルの熱気が冷めやらぬその頃、学生
最後の夏休みに自転車旅行に繰り出した「僕」は、ひょんなことから寂れたド
ライブインに住み込みで働くことになる。そこには寡黙な雇われ店長のセイジ
（西島秀俊）やオーナーの翔子（裕木奈江）、個性豊かな常連客たちがいた。
彼らと交流を深める「僕」だったが……。
＜レビュー＞
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伊勢谷友介監督第2作は西島秀俊、森山未來が共演
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俳優の伊勢谷友介が『カクト』以来8年ぶりに監督した映画。辻内智貴の小説の
映画化です。
広告代理店に勤務する主人公の「僕」が、20年前に滞在した思い出の場所に車
を走らせる途中で、過去を回想するという構成。
当時、就職も決まって夏休みに気ままな自転車旅行を始めた「僕」は、ひょん
なことから寂れたドライブインで住み込みで働くことになります。そこには雇
われ店長のセイジという男がいます。そのセイジと主人公の関わりを中心に、
オーナーの翔子や常連客たちなどの日常が描かれるのが前半の展開。
どこか人生を諦観しているようで、影のある謎の男セイジ。なにかワケありな
のはわかるものの、それ以上はキャラクターが深まりません。むしろ離婚して
子供と離れているらしい翔子や常連客のほうが、クッキリとその表情が見えて
きます。
後半になってようやくセイジの衝撃の過去が明らかになります。そして、さら
に信じられないような驚愕のクライマックスの出来事が……。
うーん、この展開には唖然としてしまいました。セイジを、人々の苦しみを受
け止める、ある種の救い主として描きたかったのでしょうか？ だとしたら前
半から緻密な組み立てをして、セイジの行動が納得できるようにしてくれない
とねぇ〜。どうも脚本に問題があるような気がします。
原作の小説は未読ですが、なにやら深いテーマ性を持った話のような感じ。人
間の罪、贖罪、自己犠牲、人間と自然との関わり（前半で直接的に描写）、人
間とは何なのか？神とはどんな存在なのか？
な〜んてところまで及ぶようなテーマの壮大さを感じてしまうのですが、それ
以上はあまり伝わってくるものがありませんでした。原作の世界を十分に消化
しきれていないのでは？ 原作を読んでいれば、それなりに胸に響くものがあ
るのでしょうが……。
そんな中で、後半に登場する美しい自然風景をはじめ映像はかなりの出来。細
かな映像テクもたくさん使っています。
そして、凄みを感じさせる西島秀俊と、抑制的な森山未來の演技も見応えアリ。
久しぶりに観た裕木奈江もなかなかの存在感でした。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年3月19日（月）テアトル新宿にて。午後2時の回
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