シグナル〜月曜日のルカ〜
(2012年 日本)(上映時間1時間52分)
監督:谷口正晃
出演:三根梓、西島隆弘、白石隼也、おかやまはじめ、宮田早苗、梅沢昌代、
緑友利恵、趣里、高良健吾、井上順、宇津井健
*新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://signal-movie.com/
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<ストーリー>
東京の大学に通う宮瀬恵介(西島隆弘)は、夏休みに実家に戻り地元の古い映
画館"銀映館"で映写助手の臨時のバイトを始める。そこには、若くて美しい映
写技師の杉本ルカ(三根梓)がいた。彼女はこの映画館に住み、3年前から一
歩も外に出ないという。高額な時給の条件として、支配人から不思議な3つの
約束をさせられる恵介。やがてルカから映写の方法を学びながら、少しずつ彼
女との距離を縮めていく恵介だったが……。
<レビュー>
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古い映画館を舞台にした雰囲気ある青春物語。主演の三根梓に注目!
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地方の古い映画館。そこの映写技師はワケあり。映画館に住み込んで、3年前
から一歩も外に出ないという。おまけに月曜になるとなぜか憂鬱になる……。
この映写技師がオッサンなら面白くも何ともありませんが、若くて美しい女の
子だというのがミソ。そんなルカという女の子と交流を持つのが、映画館で夏
休みの間、臨時のバイトをする大学生の恵介。
ルカの指導で映写技術を学ぶ恵介。どんどん縮まる2人の関係。そんな中で、
次第に明らかになるルカの秘密。いったいなぜ彼女は3年間も外に出ないのか。
3年前に何があったのか。そして、彼女が月曜になると憂鬱になる理由とは?
というわけでミステリータッチで恋愛ドラマも盛り込まれた青春映画です。ル
カの抱える秘密に加え、恵介の家族の問題なども描かれています。
ただし、ミステリーとしての魅力はあまりありません。意味ありげな描写でど
んどん謎が高まるものの、真相がわかってしまえばアララララ。いまどき2時
間サスペンスでもやらないようなリアリティのない愛憎劇。そこに関わるアブ
ないストーカー男もこれまた現実離れしたヤツなので、なおさらシラけます
(高良健吾の演技はコワいけど)。
何だか不自然なセリフが、あちこちで目立つのも気になるところ。
それでもこの映画には捨てがたい味があります。デジタル化が進む中で、古い
フィルムを扱う風情ある映画館という舞台が、独特の雰囲気を生み出していま
す。ノスタルジーあふれる空間によって、この映画の魅力が何倍にもアップし
ています。過去に閉じこもるルカにピッタリの場所。よくぞまあこんなロケ場
所を見つけたもの。そこで上映される『悪名』などの名画も印象的。
『時をかける少女』(仲里依紗主演版)の谷口正晃監督の演出も光ります。特
にラスト近くの情感あふれる描写は出色。青春ストーリーらしいみずみずしさ
にあふれています。野外上映会と列車の車窓という舞台装置も、効果的に使わ
れています。
そして、忘れてはいけないのが主演の三根梓。新人だけあって演技が未熟な部
分はあるものの、存在感は抜群。特に目の表情が豊かで、傷ついた女性の光と
影をよく表現していました。今後の成長が期待できます。
ちなみに、近くで本物の彼女を見たことがあるのですが、スクリーンのほうが
圧倒的に魅力的。そういう意味でも女優としての素質を感じさせます。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(田中ひろあき(ぽち))
2012年6月9日(土)新宿ピカデリーにて。午後1時45分の回
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