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それでも、愛してる（THE BEAVER）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間31分）
監督：ジョディ・フォスター
出演：メル・ギブソン、ジョディ・フォスター、アントン・イェルチン、ライ
リー・トーマス・スチュワート、ジェニファー・ローレンス、チェリー・ジ
ョーンズ、ザカリー・ブース、ジェフ・コーベット、ベイレン・トーマス
＊シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館にて公開
ホームページ http://www.sore-ai.com/
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＜ストーリー＞
玩具会社の２代目社長ウォルター・ブラック（メル・ギブソン）は、ある日突
然、うつ病になる。妻（ジョディ・フォスター）と２人の息子との仲もギクシ
ャクするようになった彼は、やがて家を出るが、自殺しようとした時にたまた
ま手にしたビーバーのぬいぐるみがウォルターの口を借りてしゃべり出す。そ
れ以来、ウォルターはビーバーの言うとおりに行動し、仕事も家庭も順調に回
り始めるのだが……。
＜レビュー＞
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うつ病の男と家族を描いたジョディ・フォスター監督作品
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ジョディ・フォスターが監督した映画（監督第３作だそうです）。主演にメ
ル・ギブソンを迎えて、自分もその妻役で出演しています。
主人公は玩具会社の２代目社長のウォルター。結婚20年目を迎えたある日、う
つ病にかかり、治療の効果もなく症状は悪化。そんな父の姿に小学生の次男は
戸惑い、高校生の長男は反発。妻のメレディスも何もできないまま。やがて家
を出たウォルターは、ついに自殺を試みるものの、たまたま拾ったビーバーの
ぬいぐるみ（パペットマペットみたいに手にはめるヤツ）がウォルターの口を
借りて話し始め、彼は自殺を思いとどまる。
それからはビーバーをずっと離さず、彼の言うとおりに行動するうちに、仕事
も家庭もうまくいくようになるウォルターだが……。
うつ病になった男と家族のドラマですが、ウェットさや押しつけがましさとは
無縁。冒頭、ウォルターのうつ病について、独白によりサラリと説明するとこ
ろから、テンポよくドラマが展開します。
前半はウォルターとビーバーとの出会いと活躍ぶりを、家族の反応とともに
ユーモアを交えながら描きます。ビーバーを手に腹話術のように話すウォル
ターは、見ているだけでユーモラス。最初は奇異に感じていた周囲の人々も、
ウォルターの人生がうまく回り出すと好意的に接するようになります。
前半のウォルターの姿を通して、人間の二面性についても考えさせられました。
うつ病に限らず、誰でもふだんとは別の顔があります。ウォルターの場合、そ
れがビーバーの口を借りて表出してきます。
そんなウォルターのエピソードと同時に描かれるのは、彼の長男のエピソード。
高校で秘密のバイトで代筆業をする彼は、ある女子生徒から卒業スピーチの代
筆を頼まれます。
前半も様々な問題が横たわるものの、基本的にはテンポの良いコメディタッチ
の人間ドラマという感じ。
ところが、後半はかなり雰囲気が変わります。最初は順調だったウォルターで
すが、しだいにビーバーが彼を支配し始めます。激しいバトルを展開するなど、
だんだん追いつめられていくウォルター。それに翻弄される妻子。ドラマは重
たく息苦しい雰囲気になってきます。時には観ていて痛々しいほどです。
やがて、追い詰められたウォルターが取った行動は、かなりショッキングなも
の。それでもラストは「人間は独りじゃない」と伝えて、ポジティブなタッチ
でエンディングを迎えます。
ジョディ・フォスターのマジメさを感じさせる映画ですね。前半のようなタッ
チで最後まで通せば、観客ウケは良かったのでしょうが、そうしなかったとこ
ろに彼女のこだわりを感じました。
とても良質な映画ではありますが、後半はやや息苦しくて、やりきれない感じ
がするので、観るならそのあたりを覚悟して観てください。けっしてケレンの
ある映画ではないので。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年6月24日（日）新宿武蔵野館にて。午後2時の回
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