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そして友よ、静かに死ね（LES LYONNAIS）
（2011年 フランス）（上映時間 1時間42分）
監督：オリヴィエ・マルシャル
出演：ジェラール・ランヴァン、チェッキー・カリョ、ダニエル・デュヴァル、
ヴァレリア・カヴァッリ、パトリック・カタリフォ、ディミトリ・ストロージ
ュ、オリヴィエ・シャントロー
＊ 銀座テアトルシネマほかにて公開。
ホームページ http://soshitetomoyo.com/
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＜ストーリー＞
伝説のギャングのエドモン・ヴィダル（ジェラール・ランヴァン）は、今は還
暦を迎え、静かな日々を過ごしていた。そんな中、かつての仲間のセルジュ
（チェッキー・カリョ）が13年の逃亡の末に逮捕される。実刑が確定すれば刑
務所から生きて出られない。妻との約束を守るために、最初は「自業自得だ」
と無視するエドモンだが、過去を振り返るうちにセルジュを救うことを決意す
る……。
＜レビュー＞
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2人の老ギャングの友情と裏切りを描くフレンチ・ノワール
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日本でもけっこうヒットしたフレンチ・ノワール『あるいは裏切りという名の
犬』（2004年）のオリヴィエ・マルシャル監督による映画。男同士の友情＆裏
切りというストーリー、濃密かつスタイリッシュな雰囲気、いずれも「いかに
も……」という感じのフレンチ・ノワールです。
今は足を洗って静かに暮らす往年の伝説的ギャングのエドモン（通称モモン）
が主人公。ある日、かつての仲間のセルジュが13年の逃亡の末に逮捕されたと
いう報せが入る。もしも実刑になれば生きて刑務所から出ることはないセルジ
ュ。しかし、妻と「もう二度と手出しはしない」という約束を交わしたモモン
は、最初は「自業自得だ」と言い放ち、セルジュのことを無視する。だが、か
つてともに過ごした日々を思い起こすうちに、セルジュの救出を決意する……。
鍵になるのは、モモンとセルジュの友情。それを示すために、現在進行形のド
ラマと並行して、1970年代に2人がギャングとして過ごした輝かしい日々が描か
れます。生き生きとしたこの描写が、現在の2人につながりドラマを盛り上げて
います。
自殺を図るふりをして脱走するセルジュ。実は、彼は麻薬をめぐる取引で組織
とトラブルを起こしたらしく、警察と同時に、その組織からも狙われます。そ
れを一生懸命にサポートするモモン。しかし、組織の魔の手は次第に2人の身辺
に及びます。
ありがちな展開とはいえ、ノワールものらしく銃撃戦なども交えつつ、スリリ
ングに描かれる脱出＆逃亡劇。映像も見応えがあり、特に現在進行形の部分と、
過去の出来事のコントラストが見事。若々しいかつての2人と、老いた今の2人
の対照も効果的です。
原作はホンモノの元ギャングによる自叙伝とのことで、ディテールまでなかな
かリアル。2人が最初に所属していた組織が、ドゴールの私兵組織だったという
のも興味深い話です。
後半になっても、友情を信じて突っ走るモモン。しかし、それゆえますます苦
境に追い込まれ、その中で敵を倒していきます。熱い男の友情が炸裂。あれ？
でも、裏切りはどうしたの？
と思ったら、ラストに用意されていたある秘密。それが招く哀しい結末。ほろ
苦い……というより、かなりの苦さのラストです。
「この監督で、このストーリーなら、こうなって欲しい」というのを、そのま
ま体現したような映画。驚きや衝撃はないものの、ノワールものとしてはよく
できています。この手の映画が好きな方は必見でしょう。
まあ、欲を言えば、モモンがセルジュの救出を決意するあたりで、もう少しタ
メがあれば、なおさら2人の人生の変転が印象付けられた気はしますが。
ジェラール・ランヴァン（『この愛のために撃て』）、チェッキー・カリョ
（『ニキータ』）という2人の渋い俳優の演技も見もの。
男たちの光と影に酔え！
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年7月25日（水）試写会（京橋テアトル試写室）にて
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