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裏切りのサーカス（TINKER TAILOR SOLDIER SPY）
（2011年 イギリス・フランス・ドイツ）（2時間8分）
監督：トーマス・アルフレッドソン
出演：ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、ト
ビー・ジョーンズ、マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチ、キ
アラン・ハインズ、キャシー・バーク、デヴィッド・デンシック、スティーヴ
ン・グレアム、ジョン・ハート、サイモン・マクバーニー、スヴェトラーナ・
コドチェンコワ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://uragiri.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
東西冷戦時代。英国諜報部（サーカス）のリーダー、コントロール（ジョン・
ハート）は、ソ連の二重スパイ"もぐら"の情報をキャッチし、独断で作戦を実
行するものの失敗。責任をとって彼の右腕でである老スパイ、スマイリー（ゲ
イリー・オールドマン）とともに引退する。だが、ある日、政府のレイコン次
官からスマイリーに対して、"もぐら"を突き止めろという極秘の指令が下る。
コードネーム"ティンカー"、"テイラー"、"ソルジャー"、"プアマン"という４
人の幹部をターゲットに、かつての部下ピーターらと組んで調査を開始するス
マイリーだったが……。
＜レビュー＞
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ゲイリー・オールドマン主演。リアルな二重スパイのサスペンス
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ジョン・ル・カレのスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパ
イ』の映画化です。
東西冷戦下のイギリスの諜報部（サーカス）で、ソ連の二重スパイ疑惑が浮上。
リーダーのコントロールは、独断で動くが失敗して引退。ついでに彼の右腕の
スパイ、スマイリーも引退する。ところが、ある日、政府からスマイリーに対
して、極秘に二重スパイ「もぐら」を探り出すように指令が下る……。
というわけで、東西冷戦下の二重スパイをめぐる話はよくあるパターン。ただ
し、細部はかなり入り組んでいます。基本は「引退した老スパイのスマイリー
ＶＳ4人の幹部（ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン）」という構図
ながら、それ以外にも怪しげな人物が登場。スマイリーの指示で動くピーター、
死んだはずのジム、ソ連に寝返ったとされるリッキーなどテンコ盛りです。
彼らが様々な動きをするので、正直なところ一度観ただけではよく理解できな
いところもあります。
だが、それでも最後まで飽きずに観られました。細かなことを意識させない脚
本＆演出のおかげです。
同じイギリス諜報部のドラマでも「007」とは対極。派手なアクションも銃撃戦
もなし。にも関わらず息詰まるようなスリリングなドラマが展開。特にスパイ
同士の虚々実々の心理戦が、リアルに描かれて見応え十分です。途中でスマイ
リーに命じられてピーターが資料を盗み出すあたりのスリリングさも特筆もの。
後半に進むにつれてスリリングさはさらに加速。ある事実が明らかになると、
また新たな疑惑が浮上し、誰が犯人なのかまったくわかりません。
全体を包む異様な緊迫感。その源は寒々しく、凍てつくような映像。それもそ
のはず監督はハリウッドリメイクもされた『ぼくのエリ ２００歳の少女』の
トーマス・アルフレッドソン。映像のタッチは前作と同じです。
単に謎を追求するだけでなく、人間もよく描けています。特に主人公スマイ
リーの描写。老練、冷徹で、背筋を凍らせるような怖さを内に秘めつつ、妻の
不倫に動揺する心理のあやも見え隠れします。抑制的なゲイリー・オールドマ
ン（本作でアカデミー主演男優賞にノミネート）の演技が光ります。さらに、
コリン・ファース、ジョン・ハートら英国が誇る実力派俳優の演技も見もの。
冒頭のジャズ、ラストの名曲「ラ・メール」など音楽の使い方も印象的。意味
深なラストにも注目です。
ちなみに、かなり入り組んだ物語なので、観るなら事前に相関関係などを勉強
したほうがいいでしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年4月25日（水）新宿武蔵野館にて。午後1時5分の回
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