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裏切りの戦場 葬られた誓い（L'ORDRE ET LA MORALE）
（2011年 フランス）（上映時間2時間4分）
製作・監督・脚本・編集：マチュー・カソヴィッツ
出演：マチュー・カソヴィッツ、マリック・ジディ、シルヴィー・テステュー
＊シネマスクエアとうきゅうほかにて公開
ホームページ http://uragiri.ayapro.ne.jp/
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＜ストーリー＞
1988年４月、フランス領ニューカレドニアで、独立派がフランス憲兵隊宿舎を
襲い、警官が４名死亡、30名が誘拐される。国家憲兵隊治安部隊のリーダーで
あるフィリップ・ルゴルジュ大尉（マチュー・カソヴィッツ）は、事件解決の
ための交渉人に任命され、部下たちとともに現地へ飛ぶ。ルゴネルジュは犯人
グループのリーダーのアルフォンス・ディアス（イアベ・ラパカ）と交渉し、
平和的解決を目指す。だが、当時フランス国内では大統領選挙の真っ最中。そ
の政治状況が事件解決に影を落とす……。
＜レビュー＞
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政治に翻弄される平和的解決の努力
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「天国にいちばん近い島」といわれるフランス領ニューカレドニア。リゾート
地として知られるこの島で1988年に実際に起きた衝撃的な事件を、人気俳優の
マチュー・カソヴィッツが自らの主演で映画化しました。
描かれる事件は地元のカナック族の独立派によってフランス憲兵隊宿舎が襲わ
れ、警官が４名死亡、30名が誘拐されたという事件。その人質救出までの様子
が描かれます。
クライマックスの人質救出作戦はかなりの迫力。スリリングで目が離せません。
とはいえ、この映画はただのエンタメ・アクション映画ではありません。観る
べきものは、政治に翻弄される男たちのドラマ。主人公である国家憲兵隊治安
部隊のリーダーのフィリップ・ルゴルジュ大尉は、交渉人として現地入りし、
犯人グループのリーダーのアルフォンスと接触。少しずつ信頼関係を築いて、
あと一歩で平和的解決というところまでこぎつけます。
ところが、当時はフランス大統領選挙の真っ最中。現職のミッテラン大統領に、
シラク首相が挑むという激しい戦いの中、両候補はこの事件を自分に有利に利
用しようとします。
本来なら、出てくるはずのない陸軍が現地に入り、ルゴルジュ大尉たち憲兵隊
がその指揮下に入らせられるところから異常な事態。
さらに、その後、事態はますます複雑化し、平和的解決を目指すルゴルジュ大
尉たちを苦しめます。
そんなフランス政界に加え、犯人たちのバックにいる解放戦線の思惑も、ます
ます事態を混乱させます。
そして、ついにどうしても避けたかった事態が訪れて……。
そんな事件の経緯をドキュメンタリータッチを交えて、リアルに描くドラマは
見応え十分。原作ものの宿命か、やや詰め込みすぎで、主人公と敵のリーダー
の交流に深みがないのは残念ですが、それを上回る見応えがあります。
今から20年以上前の事件とはいえ、これと同じようなことは、世界のどこでも
起こりそうです。「テロには屈しない」といって武力に頼ろうとする現在の国
際情報にも通じる映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年11月9日（金）マスコミ試写（シネマート六本木）にて
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