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ヤング≒アダルト（YOUNG ADULT）
（2011年 アメリカ）（上映時間1時間34分）
監督：ジェイソン・ライトマン
出演：シャーリーズ・セロン、パットン・オズワルト、パトリック・ウィルソ
ン、エリザベス・リーサー、J・K・シモンズ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.young-adult.jp/
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＜ストーリー＞
ティーン向け小説のゴーストライターをしている37歳のバツイチ女性、メイビ
ス・ゲイリー（シャーリーズ・セロン）。都会で一人暮らしをする彼女の元に、
高校時代の恋人バディ（パトリック・ウィルンソ）から、赤ちゃんの誕生祝い
パーティへの招待状が届く。それを見て衝動的に帰郷するメイビス。なんと彼
女は、バディを奪い取ろうとするのだが……。
＜レビュー＞
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大人になれないジコチュー女を通して描く人生の肯定
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『マイレージ、マイライフ』『JUNO／ジュノ』のジェイソン・ライトマン監督
の新作。脚本は『JUNO／ジュノ』でもコンビを組んだディアブロ・コディ。
主人公のメイビスは、ティーン向け小説のゴーストライター。バツイチ、37歳
の彼女は、都会で気ままな一人暮らしをしている。そんなある日、元カレから
赤ちゃんの誕生祝いパーティへの招待状が届き、彼女は故郷へと向かう……。
メイビスは女王様のようだった高校時代が忘れられず、今もそのままの気持ち
でいます。ワガママで自信家で故郷の人たちをバカにしています。普通は、こ
んな人物は誰も好きになれないはず。ところが、この映画のメイビスはどこか
憎めない存在です。
それというのも、笑える要素がたくさんあるから。遠慮なく悪態をつきまくる
メイビスをはじめ、登場人物の生々しいセリフが笑いを誘います。ジコチュー
でありながら、ときどき孤独や弱さをチラチラさせるメイビスの絶妙な描写も、
彼女を憎めない存在にしています。かつて流行った音楽を巧みに使うあたりも
見事。
ストーリーの中心は、メイビスが元カレを奪おうとするドラマ。元カレの言葉
の端々をとらえて「不幸に決まっている」と決め付けて迫りまくる彼女の姿は
笑えるのと同時に、痛々しくもあります。
やがてこの元カレ奪取劇を通して、自らが抱える孤独や虚しさと向き合って行
くメイビス。ティーンの頃に思い描いていた自分と今の自分とのギャップを嘆
き、かつて起きた悲しい出来事も思い出します。
そんなメイビスとサエない元同級生のマットとの屈折したロマンスも、彼女の
心の傷を浮き彫りにします。
ここまで観て、身につまされる女性も多いはず。いえいえ女性のみならず、男
性だってそうでしょう。
そして、この映画のもっとも素晴らしいところが結末です。この手の映画の結
末は、主人公が新たな人生を生きる生き直しのドラマになりがち。ところが、
この映画は違います。意外な人物がメイビスの人生を肯定、というより讃美し
て、結局、彼女はほとんど変化しないのです！
人間はみんな人それぞれ。幸せの基準なんてない。今のままでもいいじゃない。
これでいいのだ！ そんな思いを持たせてくれるこの結末に、メイビス同様大
人になれない筆者は、すっかり参ってしまったのでした。
それにしても、こんなに複雑で珍しい役どころを演じきったシャーリーズ・セ
ロンの演技力に、あらためて感服です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年3月1日（木）新宿武蔵野館にて。午後2時20分の回
[「や」のページ] |
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