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25年目の弦楽四重奏（A LATE QUARTET）
（2012年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督：ヤーロン・ジルバーマン
出演：フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリストフ
ァー・ウォーケン、マーク・イヴァニール、イモージェン・プーツ、リラズ・
シャルヒ、ウォーレス・ショーン、マドハール・ジャフリー
＊角川シネマ有楽町ほかにて全国公開
ホームページ http://25years-gengaku.jp/
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＜ストーリー＞
結成25周年を迎えた弦楽四重奏団"フーガ"。メンバーはリーダー格のチェリス
ト、ピーター（クリストファー・ウォーケン）、第一バイオリンのダニエル
（マーク・イヴァニール）、第二バイオリンのロバート（フィリップ・シーモ
ア・ホフマン）、彼の妻でビオラのレイチェル（キャサリン・キーナー）。し
かし、チェリストのピーターがパーキンソン病を患っていることが発覚。ピー
ターは引退を申し出、残されたメンバーは動揺する。そのことをきっかけに彼
らの間で、様々な感情や葛藤が噴出し、楽団は解散の危機を迎える……。
＜レビュー＞
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名優たちが演じる弦楽四重奏団のメンバーの人間模様
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有名な弦楽四重奏団のメンバー4人の人間模様を描いたドラマです。
結成25周年の年、長老格のチェロのピーターが突然、パーキンソン病だとわか
り、引退を宣言します。それをきっかけに、残りの3人がスッタモンダし、完璧
なはずだった楽団は解散のピンチを迎えます。はたして楽団の行方はどうなる
のでしょうか？
この映画の素晴らしいところは、弦楽四重奏団に目を付けたところ。これが
オーケストラだったら、人数が多すぎて散漫になっちゃいますもんね。微妙な
バランスの上に成立している弦楽四重奏団でなければ、これほど面白い映画に
はならなかったでしょう。
1人の引退宣言がきっかけで、それまで抑えつけられていた憤りや嫉妬、ライバ
ル意識、家族の問題などが一気に噴出し、完璧に思えた四角形がガタガタに崩
れるという構成も良く考えられています。いったいそこでは何が起きるのか？
第二バイオリンのロバートは「第一バイオリンがやりたい！」と言い出します。
しかし、第一バイオリンのダニエルとロバートの妻でビオラのレイチェルはそ
れを否定。頭にきたロバートは不倫に走り、レイチェルと不仲になってしまい
ます。さらに、2人の娘とダニエルが関係を持ってしまい……。
ということで、まるでワイドショーのゴシップネタのような展開ですが、それ
が下世話にならないのは、フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・
キーナー、クリストファー・ウォーケンといった名優たちの演技のおかげ。い
ずれも深みのある演技で、それぞれの苦悩や葛藤を繊細に表現しています。
彼らの演奏シーンもなかなかサマになっています（もちろん実際の演奏は別人
ですが）。
そしてクラシック音楽の使い方も効果的。特に４楽章ではなく７楽章で構成さ
れ、しかも全楽章を途切れることなく繋いでいくという難曲ベートーヴェンの
「弦楽四重奏曲第14番」がストーリーのカギになっています。
ラストで使われるのもその曲。かなり苦いラストではありますが、同時に楽団
の存続にかけるピーターの熱い思いが伝わってくる結末です。「老兵は死なず、
ただ消え去るのみ」。そんな言葉を思い出してしまいました。
人生の苦悩や哀愁を巧みに表現した映画。名優たちの演技を観るだけでも価値
があります。クラシック音楽を知らなくても、十分に楽しめます。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（92点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年7月15日（月）角川シネマ有楽町にて。午後2時の回
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