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四十九日のレシピ
（2013年 日本）（上映時間2時間9分）
監督：タナダユキ
出演：永作博美、石橋蓮司、岡田将生、二階堂ふみ、原田泰造、淡路恵子、内
田慈、野友里、中野英樹、小篠恵奈、執行佐智子、赤座美代子、茅島成美
＊新宿バルト９、有楽町スバル座ほかにて全国公開中
ホームページ http://49.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
熱田乙美（執行佐智子）が突然亡くなる。茫然自失の夫良平（石橋蓮司）。娘
の百合子（永作博美）は、不倫をした夫浩之（原田泰造）との離婚を決意して
実家に戻ってくる。良平と百合子は、生前、乙美が更正施設でボランティアと
して世話をしていた少女イモ（二階堂ふみ）と日系ブラジル人のハル（岡田将
生）にせき立てられて、乙美が残したレシピに沿って、四十九日の大宴会を開
くことにするのだが……。
＜レビュー＞
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女性たちのたくましさが伝わってくる映画
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『百万円と苦虫女』『ふがいない僕は空を見た』と評価の高い映画を送り出し
てきたタナダユキ監督の最新作。
夫の不倫で離婚を決意した主人公が実家へ戻り、亡き母の残したレシピ（料理
のレシピではなく暮らしのレシピ）に沿って、父とともに四十九日の大宴会を
開くことにするというお話。大宴会に至るまでの準備のようすを、回想の中の
母の姿とともに描きます。
主人公の百合子にとって、母の乙美は実母ではなく父の後妻。そんなこともあ
って、涙ウルウルの感動物語にしようと思えばこれほど好材料のネタはありま
せん。
しかし、タナダ監督はあえてそうしません。いたずらに観客の感情を刺激する
ことなく、抑制的に登場人物の胸の内を描写。さらに被写体と一定の距離を置
くことで、観客が安直に感情移入できないようにしています。さすがに一筋縄
ではいきませんねぇ。
乙美が生前世話をしていたハデなファッションの少女や、ヘンな日本語を話す
日系ブラジル人の青年を登場させているのも面白いところ。そこから笑いが生
まれます。また、ラーメンや肉まん、コロッケパン（というかコロッケサン
ド？）などの食べ物も効果的に使われています。
しかし、観ているうちに違和感が……。登場するエピソードがどれもでき過ぎ
た話だし、乙美もあまりにも理想的な人すぎます。おかげでリアリティはあま
り感じられません。
そして、クライマックスは四十九日の大宴会。ここも何だか都合がよすぎます。
特に淡路恵子演じる叔母の変心には唖然とするばかり。何なんだ？これは。
でも、彼女が踊るフラダンスを見ているうちに気づきました。これって、現実
に足をつけた話というよりもファンタジーなのかも。リアリティを追求するの
ではなく、「こんな話があったらいいね」というスタンスで作られた映画なの
かもしれません。
だとすれば、都合よすぎる展開や奇妙な登場人物もそんなに気になりません。
ラストの主人公の決断も「それもアリかもね」と思えてきます。
というわけで、ある種のファンタジーとして観ることをお勧めします。それを
通して、女性たちのたくましさが伝わってくる映画です。
それにしても、二階堂ふみはまたしても今までと全く違う役。今後も期待でき
そうだゾ。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
2013年11月13日（水）新宿バルト９にて。午後4時30分の回
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