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愛、アムール（AMOUR）
（2012年 フランス・ドイツ・オーストリア）（上映時間2時間7分）
監督・脚本：ミヒャエル・ハネケ
出演：ジャン＝ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー、ウィリアム・シメル、ラモン・アジーレ、リタ・ブランコ
＊Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマほかにて公開
ホームページ http://ai-movie.jp/
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＜ストーリー＞
パリのアパルトマンで悠々自適な老後を送る音楽家夫婦、ジョルジュ（ジャン＝ルイ・トランティニャン）とアンヌ（エマニュエル・リヴァ）。ある日、妻のアンヌが発作を起こして、手術をするものの半身不随になる。「病院に戻さないで」という妻の願いを聞き入れたジョルジュは、自宅での介護を決意。自分も老いた身ながら、献身的な介護を続けるのだが……。
＜レビュー＞
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冷徹な視点で描かれる老々介護だが、最後には愛が訪れる
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カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞、アカデミー賞でも外国語作品賞を獲得しただけでなく作品賞にもノミネートされた映画。監督は『ピアニスト』『白いリボン』などの名匠ミヒャエル・ハネケ監督。
ハネケ監督の映画は、人間の汚い面や嫌な面も含めて、冷徹な目で情け容赦なく描いているのが特徴。結末も明確な救いがなく終ることが多いので、人によって好き嫌いが分かれるようです。
老々介護を描いたこの映画も、その延長線上にあります。穏やかに暮らしていた音楽家の老夫婦の妻がある日病気になり、まもなく半身不随に。夫は献身的に介護するものの、病状はどんどん悪化して……というお話。
映されるのは家の中のみ。そこでの夫婦のやり取りを中心に、娘夫婦、弟子のピアニスト、管理人、看護師など家を訪れる人たちとのアレコレが描かれます。
妻がどんどん衰えていく姿を、冷徹な視点で赤裸々に描き出すハネケ監督。時には目を背けたくなるところもありますが、嫌悪感を持つほどではありません。それは何よりも彼女を見守る夫との愛が常に感じられるから。夫や娘などの戸惑い、苦悩などもリアルに伝わってきます。相変わらず一級品の人間描写です。
劇的な場面は途中までは全くありません。妻が二度目の発作を起こすところなども、会話の中でしか出てきません。
そして、やがて訪れる衝撃の出来事。ここも情け容赦ない描写で、思わず息をのんでしまいます。「ああ、やっぱりこの映画にも救いはないのだな」と思ったのですが……。
その後のシーンには驚きました。ある種のファンタジックな仕掛け。これまでのハネケ作品にはなかったような、切なくも温かな余韻の残るシーンです。ここに至って、この夫婦の愛に何の疑いも持たず、素直に感動してしまうのでした。このあたりが、今までの作品以上に広く受け入れられた理由かもしれませんね。
老夫婦を演じたジャン＝ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァの名演も見逃せません。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（95点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年3月15日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回
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