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愛してる、愛してない（COME RAIN, COME SHINE）
（2011年 韓国）（上映時間1時間45分）
監督・脚本：イ・ユンギ
出演：ヒョンビン、イム・スジョン、キム・ジス、キム・ジュンギ
＊新宿武蔵野館ほかにて公開
ホームページ http://aisiteru-aisitenai.com/
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＜ストーリー＞
結婚して５年になる夫（ヒョンビン）と妻（イム・スジョン）。空港へ向かう
車の中で、妻は夫に「好きな人ができたから家を出ていく」と告げる。戸惑い
ながらも車を走らせる夫。やがて別れの日を迎えた２人。外は雨が降り続いて
いた。夫は妻の荷造りを手伝い、２人はレストランも予約するのだが……。
＜レビュー＞
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別れる夫婦の揺れ動く感情を繊細にすくい取る
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直木賞作家・井上荒野の短編小説「帰れない猫」を『素晴らしい一日』のイ・
ユンギ監督が映画化。
結婚５年目のある夫婦のドラマ。冒頭は車の中の夫婦の姿が、10分近い長回し
で描かれます。空港に向かう妻を送る夫。そこで、妻は夫に「好きな人ができ
たから出て行く」と告げます。
そこから先は、ついに訪れた別れの日が描かれます。夫婦の家からカメラが一
歩も出ない凝縮された展開。必要最低限のセリフのみで、映像の力で夫婦の揺
れ動く感情を繊細に切り取ります。
妻の荷造りを手伝う夫、コーヒーを淹れ、穏やかに会話をします。妻もそんな
夫にごく普通に接します。とても別れる夫婦には見えません。しかし、やがて
それぞれの気持ちのすれ違いが明らかになります。最後まで優しい夫に、「な
ぜ怒らないのか」と苛立つ妻……。
ほんのわずかな表情の違いや何気ないしぐさで、感情を表現するイ・ユンギ監
督の抜群の演出力。ただし、それをきちんと感じ取れるかどうかは観客次第。
観客の感性が試されます。ボケーっと観ていると、何にもないまま通り過ぎて
しまうかも。
途中で家に猫を迷いこませる仕掛けも巧み。記録的に降り続ける雨も効果的に
使われています。
そして圧巻なのが夫のパスタづくりに託して、夫婦の感情を見せつけるところ。
特に夫の玉ねぎの涙が痛切に胸を打ちます。
ラストシーンで、猫に話しかける妻。それは自分に言い聞かせる言葉でしょう。
余韻の残るシーンです。
夫役のヒョンビンは、テレビドラマ「シークレット・ガーデン」などで知られ
る韓流スターだそうです。そのため、観客席には韓流ファンと思しき女性がた
くさん。しかし、そんな女性たちが狐につままれたような表情になったのが印
象的。そのぐらい実験的でエンタメ性とは無縁な映画ですが、私にとっては見
応え十分でした。
妻役のイム・スジョンは、ホラー映画『箪笥』、パク・チャヌク監督の『サイ
ボーグでも大丈夫』などで知られる女優。今やすっかり大人の女優になりまし
たね。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年3月17日（日）新宿武蔵野館にて。午後1時50分の回
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