|
ブランカニエベス（BLANCANIEVES）
（2012年 スペイン・フランス）（上映時間1時間44分）
監督・脚本：パブロ・ベルヘル
出演：マリベル・ベルドゥ、ダニエル・ヒメネス・カチョ、アンヘラ・モリー
ナ、ペレ・ポンセ、ホセ・マリア・ポウ、インマ・クエスタ、ソフィア・オリ
ア、マカレナ・ガルシア
＊新宿武蔵野館にて公開
ホームページ http://blancanieves-espacesarou.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
1920年代のスペイン。天才闘牛士アントニオはある時、牛に体を貫かれる。観
客席にいた身重の妻は衝撃で産気づく。女の子が生まれ、カルメンと名付けら
れたものの、闘牛士は半身不随となり、妻は死亡する。アントニオは、エンカ
ルナと再婚。継母となった彼女は、カルメンを虐げる。やがて美しく成長した
カルメンはエンカルナに命を狙われるが、小人闘牛士団の一行に救われる。カ
ルメンは"ブランカニエベス（白雪姫）"と名付けられ、女闘牛士として人気者
になっていくのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
サイレント＆白黒で描いた白雪姫＋闘牛士のドラマ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
誰でも知っている童話の「白雪姫」と闘牛士を融合させたユニークなドラマで
す。
名闘牛士の父親が一瞬の油断で牛に突かれ、それを見ていた妻が産気づいて女
の子を生みます。しかし、妻は亡くなり闘牛士も半身不随に。カルメンと名付
けられた女の子は、祖母に育てられますが、やがて祖母も亡くなり父の家に来
ます。しかし、そこには性悪な継母がいて、彼女をイジメます。
やがて成長したカルメンは、継母に命を奪われそうになりますが、小人闘牛士
団に救われて闘牛士になって活躍します。
というわけで、ドラマの大枠は完全に白雪姫。七人の小人も毒リンゴも登場し
ます。これをアニメならともかく、普通の実写でやったならウソくさいだけで
しょう。しかし、この映画の凄いところは、全編白黒映像、しかもサイレント
で描いているところ。わずかな字幕は出ますが、後は映像と音楽のみで見せて
いきます。
これが大正解です。制約のある中で、観客は集中力を高めるしかありません。
おかげで自然に物語に没入できます。白黒映像のせいで、想像力も刺激されま
す。それによって、父と娘の情愛や継母の野望など、すべてがきちんと伝わっ
てきます。クライマックスの闘牛場の高揚感も、白黒映像ならではでしょう。
なるほど。こういう描き方もあるんですねぇ〜、と感心するばかり。感動する
とかではありませんが、物語として十分に楽しめました。
ただラストはどうなんでしょう。せっかく白雪姫の物語なんだから、もうちょ
っとニュアンスを変えても良かったのでは？あれだと、悲しいまま終わってし
まうので。
とはいえ、ユニークで今まで観たことのない映画でした。そういう意味で観る
価値は十分にあります。
ちなみに、同じく白黒、サイレントの『アーティスト』では犬が活躍しました
が、こちらはニワトリが活躍。白黒、サイレント映画には動物が似合う？
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（91点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年12月7日（日）新宿武蔵野館にて。午後4時40分の回
[「ふ」のページ] |
|