|
武士の献立
（2013年 日本）（上映時間2時間1分）
監督：朝原雄三
出演：上戸彩、高良健吾、余貴美子、西田敏行、夏川結衣、成海璃子、柄本佑、
緒形直人、鹿賀丈史、ふせえり、宮川一朗太、猪野学、海老瀬はな、浜野謙太、
笹野高史
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
http://www.bushikon.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
優れた味覚と料理の腕を持つものの、気が強いために1年で離縁されてしまった
春（上戸彩）。加賀藩の料理方である舟木伝内（西田敏行）に才能を見込まれ、
舟木家の跡取り息子・安信（高良健吾）と再婚する。だが、安信は料理が大の
苦手で、まったくやる気がない。年上の春は、夫の料理指南を始めるのだが…
…。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
やる気のない夫をその気にさせる料理上手な妻の奮闘
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
時代劇といえば武士が中心。この映画の舞台も武家ですが、君主とその家族の
食事をまかなう「包丁侍」の家だというのがユニーク。藩の経理係の「そろば
ん侍」を描いた『武士の家計簿』（2010）と同じパターンですね。
主人公は加賀藩主の側室に仕える春という女性。一度商家に嫁いだものの、気
が強いために1年で離縁されて出戻っています。そんな彼女の特技は料理。その
腕と舌にほれ込んだのが、加賀藩の料理方である舟木伝内。「息子の嫁に！」
と懇願します。しかし、熱意に押されて嫁いでみると、夫の安信は料理より剣
が好き。全然やる気を見せずに、年上で離婚歴もある春を「古ダヌキ」呼ばわ
りします。そこで、春はあの手この手で、夫の料理の腕を磨かせようとします。
ほのぼのとした雰囲気の中で、夫婦愛や家族愛を描いた映画です。監督は『釣
りバカ日誌』の朝原雄三。古き良き松竹の伝統を感じさせます。
控えめながら、夫のために言うべきことはピシッと言う春。表面上は不愛想に
接しながら、次第に彼女に惹かれていく安信。２人の関係がとてもいいですね。
ベテラン俳優たちがしっかり脇を固める中で、上戸彩と高良健吾が初々しく、
一本気な夫婦を好演しています。
脚本も堅実です。浅草の有名料理屋の娘として生まれた春の生い立ち、次男の
安信が跡継ぎになった経緯、そして彼と初恋の女性との関係なども、過不足な
くドラマの中に盛り込んでいます。
ドラマは途中から加賀藩のお家騒動が絡んできます。それが安信の進路に大き
な影響を与え、夫婦にも危機が訪れます。しかし、最後はほっこりと夫婦の情
愛を描いて観客を安心させてくれます。
もちろん料理が大きなポイントを占める映画だけに、劇中の料理はどれもとっ
ても美味しそうです。
というわけで、欠点らしい欠点もなくよくまとまった映画なのですが、あまり
にまとまり過ぎている感じも……。せっかくお家騒動を出したのなら、一か所
ぐらいチャンバラがあってもよかったのでは？なんだか、あのネタの扱いが中
途半端なような気がするのですが。
でも、まあ時代劇といっても古臭い感じはしないし、幅広い層が楽しめそうな
映画ですね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（86点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年1月8日（水）新宿ピカデリーにて。午後2時30分の回
[「ふ」のページ] |
|