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コズモポリス（COSMOPOLIS）
（2012年 フランス・カナダ）（上映時間1時間50分）
監督・脚本：デヴィッド・クローネンバーグ
出演：ロバート・パティンソン、ジュリエット・ビノシュ、サラ・ガドン、マ
チュー・アマルリック、ジェイ・バルシェル、ケヴィン・デュランド、ケイ
ナーン、エミリー・ハンプシャー、サマンサ・モートン、ポール・ジアマッテ
ィ
＊ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開。全国順次
公開
ホームページ http://cosmopolis.jp/
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＜ストーリー＞
28歳にして大富豪となったエリック（ロバート・パティンソン）は、ハイテク
装備のリムジンをオフィス代わりにしている。ある日、床屋に向かったエリッ
クのリムジンはなかなか目的地にたどり着けない。大統領のニューヨーク訪問
を前に、街では大勢の市民がデモに繰り出していた。そんな中、エレックは人
民元取引で壊滅的な損失を出し、さらに大きな影が彼に襲いかかる……。
＜レビュー＞
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若き富豪の一日を描くクローネンバーグらしい映画
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『クラッシュ』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『イースタン・プロミ
ス』のデヴィッド・クローネンバーグ監督が、ドン・デリーロの小説を映画化
しました。
原作は映像化困難といわれるほどユニークな小説らしいのですが、さすがにユ
ニークさでは負けていないクローネンバーグ監督。なかなか面白い映画に仕上
げています。
28歳の若き大富豪の青年エリックの1日を描いたサスペンス・スリラーです。オ
フィス代わりのハイテク装備のリムジンに乗って、床屋に行こうとするエリッ
ク。しかし、大統領が訪れて、さらにデモ隊も加わって大混雑。なかなか目的
地に着きません。
その間に、リムジンには彼の部下だの、愛人だの様々な人が訪れて、様々な話
をしたり、セックスをしたり。はては医者が車内で健康診断までします（毎日
そうやって検診しているとか）。
途中までは、そんな車中の様子を中心に描くのですが、これが何とも不思議な
世界。現代が舞台のようですが、何やらSFチックな匂いがプンプン。展開され
る会話はみんな暗喩的だったりして、わかったようなわからないような。とに
かく意味深で、怪しい会話の連続です（前立腺の話とか）。それにつられて、
つい見入ってしまいました。
大富豪エリックのやりたい放題のような言動が展開される一方で、彼には暗い
影も差してきます。人民元の下落で資産を失いそうになり、結婚したばかりの
奥さんとは全く心が通わず、デモ隊に車を襲撃され……。さらに、どうやら彼
は命を狙われているようです。
というわけで、クライマックスは彼の命を狙う人物との対面。そこでの会話も
一筋縄でいきません。舞台劇のように濃密でスリリングな会話です。
このドラマの背景にあるのは、資本主義の行きつく果てのどん詰まりの世界。
勝者の主人公があらゆるものを手にして、敗者たちを支配するものの、彼の求
める完璧などあるはずもなく、自己矛盾を抱えたまま破滅へと突き進んでいき
ます。
主人公を演じた『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンがアブナ
イ男を好演。さらに、ジュリエット・ビノシュ、マチュー・アマルリック、サ
マンサ・モートン、ポール・ジアマッティなど実力派の脇役も見もの。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年4月14日（日）新宿武蔵野館にて。午後2時10分の回
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