エリジウム(ELYSIUM)


(2013年 アメリカ)(上映時間1時間49分)
監督・脚本・製作:ニール・ブロムカンプ
出演:マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー、ア
リシー・ブラガ、ディエゴ・ルナ、ワグネル・モウラ、ウィリアム・フィクト
ナー、ファラン・タヒール
*丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.elysium-movie.jp/
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<ストーリー>
2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進む地球には貧困層が住み、上空400キロ
に浮かぶスペース・コロニー「エリジウム」には富裕層が居住していた。彼ら
はどんな病気も一瞬で完治させる医療ポッドを持ち、何不自由ない暮らしを送
っていた。そんなある日、地上で暮らす男マックス(マット・デイモン)は、
工場で事故に遭い、余命5日と宣告されてしまう。生き延びるためにエリジウム
に潜入しようと考えたマックスは、レジスタンス組織と接触するのだが……。

<レビュー>
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ハリウッドのエンタメ映画を通して現代の貧富の格差を提示
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低予算と無名のキャストながら、アカデミー賞の候補になったSFアクション
『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督が、本格的にハリウッドに進出した
映画。

時は2154年。荒廃した地球には貧困層が住み、富裕層の人々はエリジウムとい
うスペース・コロニーに居住。そんな中、地球に暮らすマックスという青年が
工場で事故にあい、余命5日と宣告されてしまう。どんな病気でも治す医療ポッ
ドのあるエリジウムに潜入しようとするマット。だが、そのためにレジスタン
ス組織のボスからあることを頼まれる……。

さすがにハリウッド映画らしく、スリリングなアクションがテンコ盛りです。
特に後半はマックスVSエリジウムの長官の命を受けた工作員との大バトルが
炸裂。マックスが神経と一体化したパワードスーツを背負って戦うなど、アニ
メチックな展開もあります。迫力のアクションの波状攻撃で目が離せません。

マックスの幼なじみの女性とその娘を効果的に使うところなども、いかにもハ
リウッド映画。自己犠牲の尊さを訴えるようなラストもそうですね。ついでに、
あちこちにツッコミどころが満載なのもハリウッド映画らしいかも。

というわけで、これだけならよくあるハリウッドのエンタメ映画ですが、それ
で終わらないのがこの映画の魅力。『第9地区』がSFを通して、現在の人種
差別というテーマを追求していたのと同様に、この映画にも現代に通じるテー
マがあります。

それはズバリ格差社会。特に富裕層と貧困層の医療格差が、明確な形で提示さ
れています。この映画で描かれる富裕層と貧困層の格差は、まさに天と地ほど
の違い。それは今の世界の状況とそんなに違わない……と思うのは私だけ?

ハリウッド映画であるからには、相当に厳しい注文があったはず。それをクリ
アして普通のエンタメ映画の形を取りながら、自分の主義主張も譲らない。
うーん、ブロムカンプ監督、何ともしたたかです。こういう姿勢をこれからも
続けて欲しいですね。

キャストでは主役のマット・デイモンに加え、エリジウムの長官役のジョデ
ィ・フォスターがいい味。ただし、最後はちょっとあっけないかも。

そして、敵役の工作員がどこかで見たことがあると思ったら、『第9地区』の
主演のシャールト・コプリーではありませんか。なかなかの悪役ぶりでした。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(90点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2013年9月20日(金)シネ・リーブル池袋にて。午後1時50分の回


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