ジ、エクストリーム、スキヤキ


(2013年 日本)(上映時間1時間51分)
監督・脚本:前田司郎
出演:井浦新、窪塚洋介、市川実日子、倉科カナ、黒田大輔、西田麻耶、内田
慈、安倍健太郎、高良健吾、沖田修一
*テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://ex-sukiyaki.com/
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<ストーリー>
バイト生活を送る大川(窪塚洋介)のもとを、大学時代の友人の洞口(井浦
新)が15年ぶりに訪ねてくる。2人は思いつきで洞口の昔の恋人らしい京子(市
川実日子)のもとを訪ね、海へ行こうと誘う。そこに、大川の同棲相手の楓
(倉科カナ)も加わり、4人の奇妙なドライブが始まるのだが……。

<レビュー>
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ゆる〜い会話の中から見える登場人物の人生
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前田司郎監督は、演劇界で注目を集める期待の若手だそうです。その映画監督
デビュー作。

描かれるのは4人の男女の海へのドライブ。そのうち大川と洞口は大学時代の友
人。しかし、何かがあったらしく長いこと絶縁状態でした。その大川のもとを
洞口が突然訪ねてきて、ドラマが動き出します。2人は成り行きで「海へ行こ
う」ということになり、同じく大学時代の友人で、洞口の昔の恋人だったらし
い京子を訪ねて誘います。そこに大川の同棲相手の楓も加わります。

というと、なにやらシリアスなロードムービーのようですが、実際は全然違い
ます。全編がゆる〜い会話で構成されたドラマ。どうでもいいようなことを
延々と語ったり、かみ合っているようないないような会話が続いて、オフビー
トな笑いを生み出しています。

何しろドライブの目的自体が、行きがかりでゲットしたすき焼き鍋を持って、
すき焼きをしようというのですから。

この会話をどう感じるかで、この映画の評価は分かれそうです。好きな人はハ
マるし、ダメな人は全然ダメかも。

とはいえ、ただ無駄な会話が続くわけではありません。起きる出来事は、海へ
行って、帰るのが面倒になったから旅館に泊まるというだけ。しかし、その間
の会話の中にチラリと彼らの人生が見えてきます。

どうやら大学時代に友人が亡くなったらしいこと(映像でチラチラそれがはさ
まれます)。洞口が会社を辞めてダラダラと暮らしていること。大川もやりた
いことが見つからず焦っていること。京子は恋人と中途半端な関係が続いてい
て、楓はどうやら先天性の難病であることなど。

それらを通して、ほろ苦さとともに、「過去とどう向き合うか」というテーマ
らしきものが見えてきます。過去は過去で前を向くべきだとわかっていても、
現実にはそうできないのが人間。会話の中に出てくる古代のデボン紀の話が印
象的です。なかなか前に踏み出せない大人たちの心情がリアルに伝わってきま
す。

こういう映画、個人的には嫌いじゃありません。ただし、さすがに同じような
会話が2時間近くも続くのはちょっとツライですね。もう少しコンパクトにする
か、何かひとヒネリあるともっと良かったかも。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(89点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
                             (田中ひろあき)

2013年12月1日(日)テアトル新宿にて。午後2時10分の回


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