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フライト（FLIGHT）
（2012年 アメリカ）（上映時間2時間18分）
監督：ロバート・ゼメキス
出演：デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、ジョン・
グッドマン、ブルース・グリーンウッド、メリッサ・レオ、ブライアン・ジェ
ラティ、タマラ・チュニー、ナディーン・ヴェラスケス、ジェームズ・バッ
ジ・デール、ガーセル・ボヴェイ
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.flight-movie.jp/
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＜ストーリー＞
フロリダ州オーランド発アトランタ行きの旅客機が突如制御不能に陥る。もは
や墜落は免れられないという中で、機長のウィトカー（デンゼル・ワシント
ン）は驚異的な操縦テクニックで機体を不時着させ、犠牲者を最小限にとどめ
る。この行為によってウィトカーはヒーローになる。だが、彼の血中からアル
コールが検出されたことで事態は一転する。刑務所行きを恐れたウィトカーは、
弁護士のラングとともに事実の隠蔽に動き出すのだが……。
＜レビュー＞
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英雄かアル中男か。苦悩するパイロットの人間ドラマ
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『フォレスト・ガンプ／一期一会』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロ
バート・ゼメキス監督。最近はエンタメ路線まっしぐらの3Ｄ映画ばかり撮って
いましたが、久しぶりの実写映画。それも奥の深い人間ドラマです。
デンゼル・ワシントン演じる旅客機のパイロットが主人公。フライト中に操縦
不能となり、予想もしない背面飛行という荒業によってどうにか不時着。犠牲
者を最小限にとどめます。これによって一躍英雄となった彼ですが、まもなく
アルコールを飲んでフライトしていた疑惑が持ち上がります。
前半はかなりハラハラします。もちろん、それは緊迫の不時着シーン。あわや
墜落というギリギリの場面がスリリングです。
ただし、その後はかなりジミなシーンが続きます。主人公のウィトカー機長に
アル中疑惑が持ち上がるのですが、実は冒頭から彼がアルコール＆ドラッグま
でやっていることが示唆されます。もしも疑惑を追うサスペンスの側面を強調
したいなら、こんなことはしないでしょう。
ゼメキス監督が描きたかったのは、「英雄」「悪魔」という相反するレッテル
を貼られた人間が、その狭間でもがき苦しむ姿。ハデさやスリリングさこそな
いものの、見応えたっぷりの人間ドラマが展開します。
なかなかアルコールと手が切れず、元妻や子供から非難され、新しい恋人とも
うまくいかなくなるウィトカー機長。
そして、クライマックスは公聴会での証言シーン。それまで罪を免れるために
ウソをつき続けてきたウィトカー機長が、ある衝撃の事実を突きつけられて今
度は別のウソをつくという重たいシーンです。
ただし、その前の不自然な展開はちょっと疑問。あんな小細工をしないで、証
言シーンの一点に絞ってウィトカーの苦悩や人間性をあぶり出したほうがよか
ったのでは？
それでもラストは余韻の残る終わり方で、この映画にふさわしいエンディング
でした。
人間の多面性、アルコールや薬物の恐ろしさなど、色々なことを考えさせられ
る人間ドラマです。ヒーローとは違う複雑な人物を演じたデンゼルの演技が見
事です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年3月１日（金）池袋シネマ・ロサにて。午後3時40分の回
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