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舟を編む
（2013年 日本）（上映時間2時間12分）
監督：石井裕也
出演：松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、渡辺美佐子、池脇千
鶴、鶴見辰吾、伊佐山ひろ子、八千草薫、小林薫、加藤剛
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://fune-amu.com/
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＜ストーリー＞
1995年。玄武書房の営業部に勤める馬締光也（松田龍平）は、言葉に対する独
特のセンスを買われて辞書編集部に異動となる。定年間近の荒木（小林薫）や
お調子者の西岡（オダギリジョー）ら個性的なスタッフに囲まれて、新しい辞
書『大渡海』づくりに励む馬締。そんなある日、彼は下宿先の大家の孫で板前
修行中の林香具矢（宮崎あおい）と出会い、一目惚れしてしまう。だが、言葉
を扱う仕事をしていながら、彼女に自分の思いを伝える言葉が見つからない馬
締だった……。
＜レビュー＞
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辞書編纂のドラマをユーモラスかつ軽快に
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2012年本屋大賞第１位に輝いた三浦しをんの小説の映画化。監督は『川の底か
らこんにちは』『ハラがコレなんで』の石井裕也。
タイトルの「舟」とは辞書のこと。言葉の海を渡る船に見立てて、辞書編纂の
過程を描いています。
それは15年がかりの気の遠くなるような仕事。その間には、関係者たちの様々
なドラマがあります。それを大げさに描くのではなく、肩の力を抜いてコミカ
ルかつ軽快に描いているのがこの映画の特徴。
石井監督の過去の作品は、オフビートのゆるい笑いが特徴でしたが、今回は原
作ものということもあって、むしろストレートな笑いが中心。
ストーリー的には、辞書編纂の過程とリンクさせて、主人公の編集者・馬締の
成長を描いています。名前の通り超マジメで他人とのコミュニケーションが苦
手な彼が、辞書をつくるうちに周囲の人々と関わり少しずつ成長していきます。
同時に、大家の孫娘で板前就業中の香具矢との、初々しいラブロマンスも描か
れます。これもまた彼にとっての成長のステップです。
後半は、いよいよ辞書編纂のクライマックス。襲いかかる数々の困難を乗り越
え、馬締たちは出版に向けて奮闘します。そこでは悲しい別れなどもあります
が、けっしてウェットな描き方ではありません。さりげなく抑制的に描くこと
で、かえって感動が高まります。
オダギリジョー、渡辺美佐子、池脇千鶴、伊佐山ひろ子といった脇役の使い方
も、何とも効果的です。
ほとんど無駄なシーンもなく、2時間13分があっという間。楽しく笑って、ちょ
っぴり感動して、心が温まる映画です。おまけに辞書づくりのウンチクもわか
るのですから、幅広い観客にアピールすること間違いナシ。石井監督にとって、
ターニングポイントになる一作かもしれません。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年4月13日（土）シネマサンシャイン池袋にて。午後12時40分の回
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