|
フリア よみがえり少女（DICTADO）
（2012年 スペイン）（上映時間1時間36分）
監督・脚本・製作：アントニオ・チャバリアス
出演：ファン・ディエゴ・ボト、バルバラ・レニー、マヒカ・ペレス、マル
ク・ロドリゲス、アガタ・ロカ、ノラ・ナバス
＊ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開
ホームページ http://furia-movie.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
小学校教師のダニエル（ファン・ディエゴ・ボト）は、子供時代の親友マリオ
から「自分の娘フリアに会って、昔起きた事件のことを話して欲しいと」頼ま
れる。だが、ダニエルは拒否。まもなくマリオは自殺し、ダニエルの妻クララ
（バルバラ・レニー）は「フレアを引き取ろう」と言い出す。渋々承知するダ
ニエル。だが、フリアの奇妙な行動がダニエルを追い詰めていく……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
よみがえりか？ 復讐か？ スペイン発のホラー映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
子供は、いったい何を考えているのかわからなかったりします。それをうまく
ネタに使ったスペインのホラー映画です。監督は、ベルリン国際映画祭金熊賞
を受賞した『悲しみのミルク』の製作者アントニオ・チャバリアス。
なかなか子供のできない夫婦。そんな中、夫ダニエルの幼なじみが自殺します。
彼にはフリアという娘がいて、妻クララはその子の面倒を見たいといいます。
しかし、実はその幼なじみは死の直前にダニエルを訪ねてきてある依頼をし、
ダニエルはそれを拒否していました。そんなこんなで気乗りしないダニエル。
それでも妻の強い要望でフリアを引き取ってみるとアララララ……。
ドラマの背景にあるのは、ダニエルと幼なじみが関わった幼少時の恐ろしい事
件。ただし、その概要は意外に早く明らかにされてしまいます。
それでも、事件の犠牲者となった少女とフリアとの奇妙な一致点を、怪しく描
いて飽きさせません。いったいフリアはその少女の生まれ変わりなのか？ 復
讐のためにこの世に現れたのか？ そんな謎で観客を引っ張ります。
同時に彼女の出現によって封印していたトラウマがよみがえり、どんどん追い
詰められて狂気に走るダニエルの姿が、リアルに描かれていきます。特に後半
の壊れ方は背筋ゾクゾクもの。
そんな中でこの映画の最大の見所は映像でしょう。現実と過去、そして夢の世
界を行き来する、怪しげで暗い映像が見事です。鮮烈な血の色などの色彩感覚
も優れています。作り込んだセットや印象的なアイテム、不気味な音、不思議
な歌なども巧みに織り込み、ホラー映画のツボをしっかりと押さえています。
フリアを演じた少女の存在感もかなりのもの。子供を使った怖いホラー映画は
たくさんありますが、この子の怖さも相当なものです。
まあ、フリアの正体がわかってしまうと「な〜んだ」となってしまうのですが、
それはそれ。そこに至るまでは十分に楽しめました。驚くようなところはない
ものの、ホラーとしての合格点はクリアしているのではないでしょうか。
過去に様々な見ごたえあるホラー映画を送り出してきたスペイン映画界。その
レベルの高さを物語る映画といえるかもしれませんね。ホラー好きは観て損は
ないと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（82点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年2月15日（金）マスコミ試写（京橋テアトル試写室）にて。
[「ふ」のページ] |
|