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箱入り息子の恋
（2013年 日本）（上映時間1時間57分）
監督・脚本：市井昌秀
出演：星野源、夏帆、平泉成、森山良子、大杉漣、黒木瞳、穂のか、栁俊太郎、
竹内都子、古舘寛治
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://www.hakoiri-movie.com/
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＜ストーリー＞
友人も彼女もおらず、職場と自宅を往復するだけの日々を送る市役所勤務の天
雫健太郎（星野源）。見かねた両親は、本人たちに代わって親同士が見合いを
する「代理見合い」に参加する。それがきっかけで健太郎は、目が不自由な奈
穂子（夏帆）と見合いをする。２人はお互いを気に入るが、奈穂子の父親は健
太郎を嫌う。父親には知らせず交際を始める健太郎と奈穂子。だが、ある日父
親が２人のことを知って激怒する……。
＜レビュー＞
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ダメ男と目の不自由な女性のピュアな恋。ベタなロマンスと侮るなかれ
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ダメダメ男と目の不自由な女性のラブロマンス。基本はベタなお話なのに、こ
こまで面白くなったのは、監督＆脚本（脚本は田村孝裕と共同脚本）の市井昌
秀の手腕でしょう。第30回ぴあフィルムフェスティバル（ＰＦＦ）で、グラン
プリを獲得した『無防備』で見せた才能が、この作品でも十分に発揮されてい
ます。
主人公は市役所勤務のダメダメ男の健太郎。今まで一度も彼女ができたことの
ない息子を心配した両親が「代理見合い」（そんなのがあるのね）に参加。そ
れがきっかけで、奈穂子という目の不自由な女性と見合いするものの、健太郎
のダメダメぶりが気に入らない奈穂子の父親が拒否。それでも２人はお互いを
気に入って交際を始めます。しかし……。
まさに純愛まっしぐらのような２人。感動の押し売りならいくらでもできそう
ですが、そんなことはしません。全体のタッチはコミカル。健太郎のダメキャ
ラを生かした笑いを中心に、笑いがたくさん詰まっています。
それでいて、メッセージ性もあります。健太郎に「自分に障がいはないが、欠
点ならいくらでもある」「目が見えると、見た目で人を判断してしまう」など
と鋭いセリフを吐かせて、世の中の固定観念をゆさぶります。その他にも現代
を映すテーマがそこかしこに。
中盤では、健太郎と奈穂子が交際を重ねる初々しいシーンが描かれます。慣れ
ないながらも、ごく自然に奈穂子を支える健太郎の姿が印象的。障がいを持つ
人との接し方について考えさせられます。清い交際だけでなく、セックスにも
踏み込んだあたりに、ただのラブロマンスに終わらせない作り手の気概が感じ
られます。
もちろん感動もキッチリ。特に、２人が牛丼屋で泣きながら牛丼を食べるシー
ンは、この映画で最も感動的なシーンかも。
クライマックスは、まるでロミオとジュリエット。情けなくて笑ってしまいま
すが、同時に２人の結びつきの強さが伝わってきます。未来に希望を灯すラス
トを見たら、誰でも温かでポジティブな気持ちになれるはず。
素敵なラブロマンスに笑いをまぶし、マジなテーマも無理なく盛り込んだ映画
です。市井監督は、今後の日本映画を背負う監督の一人になるかもしれません
ね。
俳優では、映画初主演の星野源がハマリ役。そして、相手役の夏帆のピュアで
キラキラした姿も魅力的。いや、あれなら健太郎じゃなくてもホレちゃいます
よ。ホントに。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年6月9日（日）テアトル新宿にて。午後2時の回
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