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ヒッチコック（HITCHCOCK）
（2012年 アメリカ）（上映時間1時間39分）
監督：サーシャ・ガヴァシ
出演：アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、
トニ・コレット、ダニー・ヒューストン、ジェシカ・ビール、マイケル・ス
タールバーグ、ジェームズ・ダーシー、マイケル・ウィンコット、リチャー
ド・ポートナウ、カートウッド・スミス、ラルフ・マッチオ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.foxmovies.jp/hitchcock/
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＜ストーリー＞
1959年。『北北西に進路を取れ』がヒットしたアルフレッド・ヒッチコック監
督（アンソニー・ホプキンス）は、次回作として、実在の殺人鬼をモデルにし
た小説『サイコ』の映画化を決意する。だが、その内容から映画会社は出資を
拒否し、ヒッチコックは自宅を担保に自己資金で製作することを決める。その
過程で最大の理解者で、編集者・脚本家の妻アルマ（ヘレン・ミレン）との関
係が揺らぎ始める……。
＜レビュー＞
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ヒッチコック監督夫妻のねじれた愛憎劇
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名作スリラー映画『サイコ』の製作を通して描く、巨匠アルフレッド・ヒッチ
コック監督と妻で編集者・脚本家のアルマのドラマ。といっても、ストレート
な愛の物語ではありません。
『サイコ』製作の背景にあるのは、有名監督になったもののアカデミー賞には
縁がなく、60歳を迎えて「そろそろ引退？」という周囲の声が上がる中、新た
な展開を模索するヒッチコックの焦り。それゆえ過激な素材を取り上げ、映画
会社に出資拒否され、自己資金での製作に追い込まれます。
そんな夫をけなげに支える妻アルマ……となれば、これは感動の夫婦物語。し
かし、実はヒッチコックはかなりの変わり者。口だけでなく性格もヒネクレて
います。自分の見た目の悪さにコンプレックスを持ち、自作の出演女優に異常
な関心を持ち、自分を支える妻には感謝のそぶりも見せません。
一方、妻のアルマもそんな夫に嫌気がさして、自分に共同脚本を依頼してきた
男に好意を持ち、彼との執筆にのめり込みます。
そんな夫婦のねじれた愛憎劇を『サイコ』の製作過程に絡めて、テンポよく描
いています。夫婦の関係も、映画の製作もどちらも波乱の連続。それをうまく
リンクさせたところがユニーク。当時のハリウッドの内幕ものとしても興味深
い映画です。
おまけに演じているのがアンソニー・ホプキンスとヘレン・ミレンですから。
どちらもさすがの存在感。余裕たっぷりの演技です。主演女優のジャネット・
リーを演じるスカーレット・ヨハンソンも魅力的です。
結局のところ、最後は夫婦の絆に行きつくわけですが、そこに至る展開が秀逸。
撮影終了時には駄作となってしまった映画を、どうやって歴史に残るヒット作
に仕上げたのか。それは観てのお楽しみ。
最後にヒッチコックの肩に、鳥を止まらせる遊び心も憎い仕掛けです。
ヒッチコック作品を知らなくても楽しめますが、やっぱり『サイコ』は観てお
いた方がいいかも……。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2013年4月12日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後12時20分の回
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