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ほとりの朔子
（2013年 日本・アメリカ）（上映時間2時間5分）
監督・脚本：深田晃司
出演：二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治、杉野希妃、大竹直、小篠恵奈、
渡辺真起子、志賀廣太郎、松田弘子、想田和弘
＊シアター・イメージフォーラムほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://sakukofilm.com/
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＜ストーリー＞
大学受験の浪人中の朔子（二階堂ふみ）は、叔母・海希江（鶴田真由）に誘わ
れ、旅行で留守にする伯母・水帆の海辺の避暑地の家に行き、夏の終わりの２
週間を過ごす。そこで海希江の幼なじみの兎吉（古舘寛治）や彼の娘の辰子
（杉野希妃）、おいの孝史（太賀）らと知り合うのだが……。
＜レビュー＞
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大人と子供の狭間の少女の日常を淡々と切り取る
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第23回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞を受賞した『歓待』
（2010）で注目された深田晃司監督の映画。プロデュサー＆出演の杉野希妃と
のコンビも前作と同じ。この映画も東京国際映画祭に出品されました。
浪人生の女の子が、叔母に誘われて夏休みの2週間を海辺の家で過ごすというお
話。それを日記風に描いています。
印象的なのがリアルな会話です。俳優が演技しているというよりも、普通の人
が普通に話しているような感じです。その中から、チラチラと登場人物の関係
性や本音が見えてきます。淡々とした会話ですが、ユーモアもあちこちに込め
られています。
それほど大きなことは起きません。叔母の知り合いのラブホテルの支配人や、
その甥で不登校の青年が登場して、主人公の朔子と交流するだけです。
しかし、それを通して大人と子供の狭間にいる朔子の微妙な心理が見えてきま
す。明確な進路が見つからず、将来に不安を抱えていること。うわべだけで生
きる大人に嫌悪感を持ち、うまく妥協できないこと。そんな様々な気持ちが交
錯します。思わず自分が朔子ぐらいの年齢だった時のことを思い出してしまい
ました。
後半になると、この映画唯一といってもよい事件が起きます。不登校の青年が
ブチ切れて家出して、朔子がそれにつきあいます。それを経て、最後には朔子
の成長をさりげなく見せて、エンディングを迎えます。
原発問題なども盛り込まれていますが、中心はあくまでも朔子の青春ストー
リー。彼女のひと夏の日常を切り取って、青春の迷いやきらめき、そして成長
をみずみずしく見せてくれます。独特のタッチの映画ですが、観終わって温か
な気持ちになれました。
それにしても恐ろしいのが主演の二階堂ふみ。『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』
とはまったく違う演技を披露。この子ったら、どれだけ振り幅があるんだろう。
今後も楽しみです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年10月19日（土）第26回東京国際映画祭P&I上映にて。
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