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THE ICEMAN 氷の処刑人（THE ICEMAN）
（2012年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督：アリエル・ヴロメン
出演：マイケル・シャノン、ウィノナ・ライダー、ジェームズ・フランコ、レ
イ・リオッタ、クリス・エヴァンス
＊新宿武蔵野館ほかにて全国公開
ホームページ http://iceman-movie.net/
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＜ストーリー＞
1964年。ククリンスキー（マイケル・シャノン）はデボラ（ウィノナ・ライ
ダー）と出会う。仕事は「ディズニーアニメのダビング」と告げたが、実はマ
フィアがらみのポルノ映画のダビングだった。その後、デボラと結婚し、子宝
にも恵まれたククリンスキーだが、マフィアのデメオ（レイ・リオッタ）に見
込まれ、殺し屋として雇われる。殺し屋家業を続けながら、家族には為替デ
ィーラーと偽り、幸せに暮らすククリンスキー。だが、デメオとの契約関係が
破綻し、フリーの殺し屋に仕事を斡旋してもらったことから歯車が狂いだす…
…。
＜レビュー＞
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冷酷な殺し屋のもう一つの別の顔
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実話をもとにしたお話です。家庭では、良き夫、良き父親に徹しながら、10年
以上に渡って100人もの人を殺害したとされる殺し屋を描いています。
ポルノ映画のダビングをしながら、知り合った女性デボラに「ディズニーのア
ニメのダビングが仕事」と告げる主人公のククリンスキー。この程度ならまだ
しも、その後殺し屋になっても「為替ディーラー」と偽って二重生活を送りま
す。
殺し屋としてのククリンスキーは冷酷無比。「女子供は殺さない」といい、テ
ィーンネージャーの女の子を見逃したりはするものの、基本は血も涙もない殺
人マシーン。
一方、家庭での彼の顔はまったく違います。妻に対しても娘たちに対しても常
に優しく接し、声を荒げることもほとんどありません。
このギャップは凄すぎますねぇ〜。最初に実話だと言われなければ、信じられ
ないかも。しかも、演じるマイケル・シャノンの演技がリアリティたっぷりの
怪演ぶり。仕事場と家でまったく違う振る舞いをしながら、冷たい目だけがい
つも変わりません。あの目は、まさに背筋ゾクゾクものの怖さです。
普通はこういう二重生活を送っていれば、どこかに葛藤が見えるものですが、
この男にはそれさえありません。
それでも、殺し屋にスカウトしてくれたデメオから遠ざけられ、やむなくフ
リーの殺し屋と組んだことによって、次第に追い詰められていきます。このへ
んのイラつき方の演技も絶品です。
結末は予想通りですが（ていうか実話だし）、冒頭とエンディングをつないで、
主人公の心情を語らせる構成が効いています。そこで、この男の得体のしれな
さがさらに強く印象付けられるのでした。
まあ、とにかく怖い映画ですヨ。マイケル・シャノンの演技だけでも十分に見
る価値あり。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（91点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
2013年11月17日（日）新宿武蔵野館にて。午後4時35分の回
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