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偽りなき者（JAGTEN）
（2012年 デンマーク）（上映時間1時間55分）
監督：トマス・ヴィンターベア
出演：マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、アニカ・ヴィタコプ、
ラセ・フォーゲルストラム、スーセ・ウォルド、ラース・ランゼ、アレクサン
ドラ・ラパポルト
＊Bunkamuraル・シネマほかにて公開
ホームページ http://itsuwarinaki-movie.com/
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＜ストーリー＞
デンマークの小さな町の幼稚園で働くルーカス（マッツ・ミケルセン）。ある
日、親友テオの娘クララが、"ルーカスにいたずらされた"とウソをつく。それ
がもとで変質者の烙印を押されてしまうルーカス。潔白を訴えるが誰も彼の言
葉に耳を貸さない。様々な嫌がらせや暴力にさらされながらも、じっと耐え忍
ぶルーカスだったが……。
＜レビュー＞
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子どものウソに追い詰められる男の心理状態
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「子供はウソをつかない」という固定観念を逆手に取ったドラマ。良質な人間
ドラマであると同時に、サスペンス的な魅力もあります。
幼稚園で働く男ルーカス。離婚して息子と一緒に暮らすことを願っています。
ところが、ある日、親友の娘クララがちょっとした感情の行き違いから「ルー
カスにいたずらされた」とウソをつきます。「子供がウソをつくはずがない」
と信じる周囲の人々は、ルーカスは変質者だと断じて、彼を迫害するようにな
ります……。
事前にあらすじを知っていたので、最初はそんなに興味をひかれませんでした。
子どものウソをみんなが簡単に信じるのも、都合よすぎに思えたし。
ところが、ルーカスが追い詰められるにしたがって、どんどんスクリーンに引
き込まれていきました。
何しろルーカスの心情が、観客にヒシヒシと伝わって来るのです。トマス・ヴ
ィンターベア監督の演出が見事。そして、『007 カジノ・ロワイヤル』にも出
演した北欧の名優マッツ・ミケルセンの繊細な演技が素晴らしい！ 苦しみな
がらもじっと耐え、それでも時にはキレそうになるルーカスの心理がリアルに
伝わります。
社会的テーマも投げかけています。ウソを信じ込んで無実の人間を迫害する
人々の姿を通して、噂に踊らされる地域社会の恐さをあぶり出します。
追い詰められ、息子や愛犬まで被害を受けるルーカス。はたして、彼はこのま
まじっと耐え忍ぶのか。反撃はクリスマスイブ。ただし、ハリウッド映画のよ
うに観客の溜飲を下げたり、大逆転の展開があるわけではありません。
そして、ラストは息子の成長を通して、ルーカスにかすかな希望を灯します。
しかし、それでも最後の最後には、再び事態の深刻さを訴えかけます。このラ
ストには衝撃を受けました。あまりにも重たくて余韻の残る結末。ルーカスの
その後が気になります。
現代社会の一側面を切り取った秀作。見応え十分です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2013年3月31日（日）Bunkamuraル・シネマにて。午後1時45分の回
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