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地獄でなぜ悪い
（2013年 日本）（上映時間2時間9分）
監督・脚本：園子温
出演：國村隼、堤真一、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近、坂口拓、成
海璃子
＊新宿バルト9ほかにて全国公開
ホームページ http://play-in-hell.com/
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＜ストーリー＞
ヤクザの組長・武藤（國村隼）は、獄中にいる妻・しずえ（友近）の夢を叶え
るために、娘のミツコ（二階堂ふみ）を主演に映画を製作しようとする。撮影
するのは、対立組織の池上（堤真一）の元への殴り込みの現場。男と逃亡した
ミツコを何とか連れ戻し、通りすがりの青年・橋本公次（星野源）に監督を命
じ、映画監督志望の平田（長谷川博己）にも協力させるのだが……。
＜レビュー＞
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Ｂ級テイスト満載のオバカな任侠アクション・コメディー
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実際の犯罪を基にした『冷たい熱帯魚』『恋の罪』、原発事故を扱った『希望
の国』など、ズシリと重たい映画が続いていた園子温監督が、一転してＢ級テ
イストのアクション・コメディーを撮りました。
ヤクザの抗争劇を背景に、獄中の妻のために娘の主演映画の製作を決意するヤ
クザの親分と、そこに巻き込まれる若者たちを描いています。
正直、前半はイマイチ乗り切れませんでした。小ネタや役者の大げさな演技で
笑わせるものの、展開がモタモタしているし、笑いのリズムも悪い感じ。それ
でも、ヤクザによる映画製作のエピソードが動き始める後半は、テンポも良く
なってけっこう楽しくなりました。
徹頭徹尾、荒唐無稽なお話。やりたい放題で、いろんな要素をギッシリ詰め込
んで観客を楽しませます。アクの強さは相変わらずなので、ついていけない人
もいるでしょうが、ここまでやれば立派なもの。
オバカなアクション・コメディーとはいえ、園監督らしさが満載。バイオレン
スシーン＆血の量もいつも以上に増量。こうなると、もはやエグさを通り越し
てただ笑ってしまうから面白いもの。
園監督の映画愛もタップリ感じられます。深作欣二監督の映画やブルース・
リーなど、いろいろな映画ネタが散りばめられています。映画青年の口を借り
て、今の日本映画への批判も飛び出します。
國村隼、堤真一など園監督の作品には珍しい俳優たちに加え、いつもの常連も
登場。江波杏子など意外な人たちもチラリと顔を出します。
それにしても、ヤクザの娘役の二階堂ふみはヤバイだろう。あの年で、あのア
ブナさは……。
クライマックスは壮絶なヤクザの出入りと映画の撮影が一体化。タランティー
ノみたいなケレンとドタバタ喜劇が融合した不思議な世界です。
「園監督がこんな映画を撮って」と拒否しそうな人もいそうですが、本人も役
者やスタッフも楽しんでいるのがわかるから、まあいいんじゃないですか。き
っと、園監督にとって映画青年としての原点のような映画なのでしょう。何に
も考えずに楽しめます。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
2013年10月7日（月）新宿バルト9にて。午後3時35分の回
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