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鑑定士と顔のない依頼人
（LA MIGLIORE OFFERTA／THE BEST OFFER）
（2013年 イタリア）（上映時間2時間11分）
監督・脚本：ジュゼッペ・トルナトーレ
出演：ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・ホークス、ジム・スタージェス、
ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン、ダーモット・クロウリー
＊TOHOシネマズシャンテ−ほかにて公開
ホームページ http://kanteishi.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
一流の美術鑑定士でオークション競売人のヴァージル・オールドマン（ジェフ
リー・ラッシュ）。ある日、彼のもとに、亡くなった両親が遺した家具や美術
品の鑑定をしてほしいという若い女性からの依頼が舞い込む。ところが依頼人
のクレア（シルヴィア・ホークス）は屋敷内の隠し部屋にこもったまま顔を見
せない。憤慨するヴァージルだが、屋敷で歴史的名品を発見したことから依頼
を受ける。屋敷に通ううちに姿を見せないクレアに興味を抱き始めるヴァージ
ルだったが……。
＜レビュー＞
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残酷で切なすぎる上質のミステリー。若い女には注意しろ！
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『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』のイタリアの名匠ジ
ュゼッペ・トルナトーレ監督の作品。音楽はトルナトーレ作品常連のエンニ
オ・モリコーネ。主演はオスカー俳優のジェフリー・ラッシュ。
主人公は一流の鑑定士でオークションの競売人のヴァージル。彼のもとに謎の
女から鑑定の依頼があり、屋敷に出かけるものの、彼女は一切顔を見せません。
しかし、それゆえ、かえってヴァージルは彼女に心を奪われていきます。
ヴァージルがいったいどんな人物か、簡潔に示す冒頭が印象的。レストランで1
人で食事をする彼の手には手袋。誕生日だからと店が差し入れたケーキには、
「誕生日は明日だから」と手をつけません。続いて、オークションでジョーク
を交えながら完璧に仕事をこなすヴァージル。さらに、彼が相棒と組んで、女
性の肖像を描いた名画を不正に集めているところが描かれます。
ここまで見ただけで、ヴァージルが一流の仕事人でありながら、孤独で偏屈で
女っ気なしの人物だということがいっぺんにわかります。ここから、すっかり
物語に引き込まれてしまいました。
その後も巧みな語り口が冴えわたります。顔の見えない女性依頼人クレアに興
味を持ち、戸惑い、時には彼女に振り回されてブチ切れながらも、どんどん惹
かれていくヴァージル。それまでの味気ない生活が、少しずつ変化していくよ
うすが、ごく自然に描かれていきます。
クレアの屋敷にあったカラクリ人形を少しずつ再生させたり、屋敷のそばの
バーにいる不思議な女性を要所で登場させたり、謎を膨らませていく仕掛けも
見事。ジェフリー・ラッシュの年輪を感じさせる演技も素晴らしい！
やがて、クレアがある種の精神的な病で、外の世界を怖がっていることがわか
ります。ヴァージルは、彼女を隠し部屋から外に連れ出すことに成功します。
それとともに、彼女の美しさに魅了され、ますますメロメロになっていきます。
いったいクレアの正体は何なのか。そして、ヴァージルとの関係はどうなるの
か。興味津々で見ていたら、その後はラブロマンス的な展開に突入。確かに温
かな感じはするけれど、ここまでの経緯を考えるともったいない……。
と思ったら、ラストに待っていたのは驚愕の展開！！！残酷で切なすぎる結末
です。うーむ、ヴァージルがかわいそうすぎる。老いらくの恋って怖いなぁ、
「若い女には気をつけろ！」ってことですね。
文句なしに面白い上質なミステリーでした。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年12月19日（木）新宿武蔵野館にて。午後3時25分の回
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