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危険なプロット（DANS LA MAISON／IN THE HOUSE）
（2012年 フランス）（上映時間1時間45分）
監督・脚本：フランソワ・オゾン
出演：ファブリス・ルキーニ、クリスティン・スコット・トーマス、エマニュ
エル・セニエ、エルンスト・ウンハウアー
＊ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほかにて公開
ホームページ http://www.dangerousplot.com/
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＜ストーリー＞
作家になる夢をあきらめた高校の国語教師ジェルマン（ファブリス・ルキー
ニ）。宿題の採点中に、クロード（エルンスト・ウンハウワー）という生徒の
作文に興味を抱く。それは、クロードがクラスの友人ラファの家に行き、ラフ
ァの家族を皮肉と空想を込めてつづった文章だった。ジェルマンはクロードの
個人指導を行い、他人の生活を覗き見る物語に心を奪われていくのだが……。
＜レビュー＞
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教え子の作文にのめり込む教師を通して描く「創作」の世界
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『８人の女たち』『スイミング・プール』など次々に面白い映画を作り続ける
フランソワ・オゾン監督。今回の作品もハズレなし。とってもよくできた映画
です。
高校の国語教師のジェルマンが、クロードという男子生徒の作文に興味を持ち
ます。それはクラスメートのラファの家に行き、彼の父親や母親などを皮肉を
込めて描いたもの。ジェルマンはクロードの個人指導をし、クロードはどんど
ん続きを書きます。そして、そのうちに事態は意外な方向に進んでいきます。
ドラマは３つのパートが並行して描かれます。ジェルマンによるクロードの個
人指導、クロードが書く作文をもとに描かれるラファの家族との映像、その作
文を読むジェルマンと妻ジャンヌのパートです。
相変わらず巧みな脚本＆演出のオゾン監督。特にジェルマンがクロードの作文
にのめり込む様子が、リアルに描かれます。作家志望だったのに挫折し、自身
も皮肉屋のジェルマン。そんな背景と同時に、誰にでもある覗き趣味が彼の心
を支配し、個人指導をエスカレートさせます。
クロードの作文がいつも「続く」で終わることも、ジェルマンの「続きを読み
たい！」という思いに火をつけます。そして、観客も同時にその世界に引き込
まれていくのです。
クロードの作文は、やがて現実に立脚しつつも空想が入り込み、混乱し始めま
す。それとともにクロードを指導していたはずのジェルマンが、逆にクロード
に主導権を握られるようになります。
大人になりかけの少年らしいクロードのラファの母親に対する官能的な思いな
ども盛り込みつつ、スリリングな物語が展開していきます。
この映画を通して伝わってくるのは、創作というものの難しさです。フィクシ
ョンとノンフィクションの狭間を描くことで、小説や映画とは何かという問い
を投げかけています。もちろん、それはオゾン監督自身にとっても身近なテー
マ。この映画に自身を投影させているのは間違いありません。
ラストのジェルマンとクロードのシーンが印象的。彼らが見つめる見える建物
のひとつひとつの部屋の出来事は、どれも映画や小説のネタになりそうなもの。
それをどう描くのか。そこが作家や映画監督の腕の見せ所ということでしょう
か。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（91点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年10月31日（木）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時55分の回
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