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リンカーン（LINCOLN）
（2012年 アメリカ）（上映時間2時間30分）
監督：スティーヴン・スピルバーグ
出演：ダニエル・デイ＝ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラ
ザーン、ジョセフ・ゴードン＝レヴィット、ジェームズ・スペイダー、ハル・
ホルブルック、トミー・リー・ジョーンズ、ジョン・ホークス、ジャッキー・
アール・ヘイリー、ブルース・マッギル
＊TOHO シネマズ日劇他ほかにて国公開
ホームページ http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/
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＜ストーリー＞
南北戦争末期。戦いは４年目に入り、戦況は北軍に傾きつつあった。そんな中、
再選を果たしたエイブラハム・リンカーン大統領（ダニエル・デイ＝ルイス）
は、奴隷制度の撤廃を定めた合衆国憲法修正第13条の成立を目指す。だが、議
会では長引く戦争を嫌い、奴隷制を認めて和平を求める声が強まっていた。一
方、家庭でのリンカーンは、子供の死などで心に傷を抱える妻メアリー（サ
リー・フィールド）との口論が絶えなかった……。
＜レビュー＞
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政治家と家庭人としてのリンカーンを抑制的に描く
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スティーヴン・スピルバーグ監督による、有名なアメリカ大統領リンカーンの
伝記映画です。ただし、単純な偉人伝にはなっていません。
南北戦争末期、戦況は北軍有利。リンカーンは、奴隷制度の撤廃を定めた合衆
国憲法修正第13条の成立を目指すものの、議会には反対派がたくさんいます。
しかも、長引く戦争に嫌気がさした人々の間には、「南軍が和平を求めてきた
ら、奴隷制度は認めてもいいんでない？」という雰囲気が漂います。
そんな厳しい局面で、どうにかして法律を通そうとするリンカーンの奮闘ぶり
が描かれます。いったい彼はどんなことをしたのか。目的のためには手段を選
ばず。ロビイストを使い、反対派に利益誘導して切り崩しを図るなど、あの手
この手で理想の実現を目指します。
その一方で、子供を亡くし、長男も北軍入隊を希望する中で、妻との口論が絶
えない夫＆父親としての苦悩する姿も見られます。
つまり、戦略に長けた政治家リンカーンと、深く苦悩する家庭人リンカーンの
両面を描いたのがこの映画。クライマックスの議会での採決シーンなどは、そ
れなりにスリリングですが、全体のタッチはひたすら抑制的。過去のスピル
バーグ監督の作品にはあまり見られないタッチの映画です。
おそらくスピルバーグ監督の頭には、思うように動かない現在のアメリカ（あ
るいは世界）の政治があったのではないでしょうか。そこかしこで、戦争の残
酷さや無益を訴えるメッセージも感じ取れます。
まあ、何よりも主演のダニエル・デイ＝ルイスのなりきりぶりがスゴイです。
もともと凝り性の役者ですが、今回はさらにエスカレート。「リンカーンって、
絶対にこういう人だったんだろうな」と思い込んでしまう渾身の演技です。
『マイ・レフトフット』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に続いて３度目の
アカデミー主演男優賞に輝いたのも納得。
さらに、妻役のサリー・フィールド（最近はテレビドラマでも活躍）、強硬な
人種差別反対派の議員を演じたトミー・リー・ジョーンズの存在感も見事です。
セリフ中心で派手さは全くなし。それでも、観終ってズシンとくる人間ドラマ
です。スタッフやキャストの意気込みが伝わってきます。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（+1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（+1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2013年5月10日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回
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