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みなさん、さようなら
（2012年 日本）（上映時間2時間）
監督：中村義洋
出演：濱田岳、倉科カナ、永山絢斗、波瑠、安藤玉恵、志保、ナオミ・オルテ
ガ、田中圭、ベンガル、大塚寧々
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://minasan-movie.com/
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＜ストーリー＞
1981年。12歳の渡会悟（濱田岳）は突然、"一生、団地の中だけで生きていく"
と宣言する。中学に通わず、団地に閉じこもった生活を始める悟。規則正しい
生活で、勉強や体力づくりに努め、夜には団地の安全を守るためのパトロール
をする。やがて、１度も出席することなく中学を卒業した悟は、団地内のケー
キ屋に就職し、同じ団地に住む恋人もできるのだが……。
＜レビュー＞
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団地に引きこもる少年をユーモラスに。さりげない感動も
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これまでも『アヒルと鴨のコインロッカー』『ポテチ』などでコンビを組んで
きた中村義洋監督＆濱田岳主演による映画。久保寺健彦の小説の映画化です。
12歳の春に突然「団地の中だけで生きていく」と宣言した男性の12歳〜30歳ま
でをユーモラスに描いたドラマ。これだけの年齢を１人で演じられるのは濱田
岳ぐらいでしょう。「子供がそのまま大人になったような」主人公のキャラに
ぴったり。
このドラマの背景にあるのは、団地という存在。かつては日本の経済成長の象
徴のような夢の街だったのが、やがて次第に寂れ、衰退していきました。そん
な歴史と物語がシンクロしています。主人公が卒業した小学校の同窓生107人は、
全員団地暮らし。それが時間とともにだんだん減っていく経過を、数式で表示
するところがユニーク。
初めのうち主人公は規則正しい生活で、勉強、運動などに励みます。16歳で団
地内のケーキ屋に就職。やがて恋人もできます。しかし、恋人に促されても、
どうしても団地から出られません。
いったいなぜ彼はそうなったのか。中盤に衝撃的な過去が明らかにされます。
彼が「強くなりたい」と願い、空手家の大山倍達に心酔する理由も、そこで納
得できます。かなりシビアな展開ですが、ベタに描いていない分、かえって主
人公の痛みが伝わってきます。
そして後半に用意されているのが意外な出来事。主人公がヒーローになる瞬間
です。そこまでの物語の運びが巧みなので、つい感情移入してしまいました。
こうして少しずつ成長し、変化していく主人公。最後に決定的に彼を動かすの
が「母の愛」というのは月並みな展開ですが、それでもやっぱり感動してしま
います。後味はさわやか。
変わった青春ストーリーとして適度に笑えて感動できる、観て損のない映画だ
と思います。
恋人役の倉科カナと隣人役の波瑠がミョーに色っぽいんですが、中村監督って
あんなに女優を撮るのが上手かったっけ？
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
2013年1月2日（土）テアトル新宿にて。午後4時10分の回
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