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もらとりあむタマ子
（2013年 日本）（上映時間1時間18分）
監督：山下敦弘
出演：前田敦子、康すおん、伊東清矢、鈴木慶一、中村久美、富田靖子
＊新宿武蔵野館ほかにて公開
ホームページ http://www.bitters.co.jp/tamako/
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＜ストーリー＞
東京の大学を卒業した坂井タマ子（前田敦子）は、就職もせず、甲府の実家へ
戻ってくる。実家では、スポーツ用品店を経営する父・善次（康すおん）が一
人で暮らしていた。家業を手伝うでもなく、父親が作ったごはんを食べ、漫画
を読んで、昼寝をして、「日本はダメだ」とテレビに毒づくタマ子。自堕落な
日々が続いていく……。
＜レビュー＞
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ダメ女の日常を山下監督がリアルに描く
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山下敦弘監督といえば、『ばかのハコ船』『松ヶ根乱射事件』など、ダメ男を
描いた作品では定評のある監督。そして、今回はダメ女の映画を作りました。
主人公のタマ子は、東京の大学を卒業したものの、就職もせずに甲府の実家に
戻っています。実家はスポーツ用品店。父が一人で暮らしています（母は離婚
して出て行ったことが、さりげなく伝えられます）。そんなタマ子と父の生活
を、秋、冬、春、夏と１年に渡って描きます。
タマ子は、父の作る料理を食べ、ゴロゴロ昼寝し、マンガを読んで過ごします。
たまにテレビを見て、「日本はダメだ」と毒づきます。そして、父に仕事を探
すように言われると、「その時が来たら動く！」「少なくとも……今ではな
い！」などと言う始末。まあ、完全なダメダメ女というわけです。
そのダメッぷりが実に良く描かれています。リアリティ満点で「ああ、いそう
だな。こういう女の子」と納得してしまいます。あんまりやり過ぎるとウソく
さくなりますが、絶妙のバランス感覚で見せてくれます。
前田敦子が見事に役にハマッています。話し方、食事をするしぐさ、居眠りし
ている姿など、全身でダメさを表現。彼女のこういう面を引き出した山下監督
はさすがですね。
山下監督らしいオフビートの笑いも健在。途中で写真館の息子の中学生に、履
歴書用の写真を内緒で撮らせるエピソードなど、クスクス笑えるシーンがたく
さんあります。
全編に流れるユル〜い空気。とりたてて大きな出来事は起きません。わずかに
後半、タマ子の父がアクセサリー教室の先生を紹介されて、「もしかして再
婚？！」とタマ子が心を乱します。そこで、彼女の様子を探るエピソードも秀
逸。タマ子の微妙に揺れ動く心情が、うまく表現されています。
父と娘の関係が、なかなかいいんですよねぇ〜。あんまりうるさいことは言わ
ないけど、やっぱり娘のことが心配な父。反抗しつつも、完全には突き放せな
い娘。その距離感が何とも言えません。
ラストは一応の方向性を示しつつ、余韻を残して終わります。タマ子の行く末
は、観客一人ひとりが想像しましょうね。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（95点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
2013年11月24日（日）新宿武蔵野館にて。午後1時40分の回
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