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麦子さんと
（2013年 日本）（上映時間1時間35分）
監督：吉田恵輔
出演：堀北真希、松田龍平、麻生祐未、ガダルカナル・タカ、ふせえり、岡山
天音、田代さやか、温水洋一、余貴美子
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://mugiko.jp/
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＜ストーリー＞
声優志望の小岩麦子（堀北真希）は、父の死後、兄の憲男（松田龍平）と２人
で暮らしていた。そんなある日、麦子が幼い頃に家を出た母の彩子（余貴美
子）が突然やってくる。彩子と同居することになる麦子だが、自分たちを捨て
た母が許せない。しかし、末期ガンに冒されていた彩子は、まもなく死去。麦
子は納骨のため母の故郷を訪れる。そして、麦子は若き日の母の意外な姿を知
るのだった……。
＜レビュー＞
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母に対する娘の心の軌跡を温かく描く
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『純喫茶磯辺』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の吉田恵輔監督が、長い間疎
遠だった母と娘の絆を描いたドラマです。
吉田監督といえば、ゆる〜い笑いが持ち味ですが、この映画ではそれはやや抑
えめ。コミカルなところもありますが、むしろ繊細に登場人物の心の軌跡を描
いています。
映画の冒頭は、主人公の麦子が母・彩子の遺骨を持って、彼女の故郷にやって
来たシーン。話はいったん、そこから少し前にさかのぼります。
父が死に兄と２人で暮らす声優志望の麦子。そこに突然幼い頃に家を出て音信
不通だった母・彩子がやって来て、同居することになります。しかも、兄が家
を出たため麦子と母は２人きりに……。
前半は、再会した母と娘の姿が描かれます。ごく普通の母親として接しようと
する彩子。それに対して、母が許せずに戸惑い、素直になれない麦子。微妙な
２人の関係を、きめ細かく描いていきます。２人が作る料理や、母の目覚まし
時計などの小道具が効果的に使われます。麦子がアニメオタクということで、
アニメを使って笑いを誘うあたりは、いかにも吉田監督らしいところ。
その後、末期ガンだった彩子はあっさり亡くなります。そして、再び冒頭の
シーンに戻り、彩子が母の故郷に納骨に訪れます。
後半は、母の故郷で、若い頃の母を知る人々とふれあう麦子が描かれます。か
つての母は自分と瓜二つで、歌手志望の地元のアイドルのような存在。そんな
キラキラ輝いていた母を知るとともに、麦子に親切にする霊園に勤める女性や、
旅館を営む親子などのエピソードが加わって、麦子の母に対する思いは少しず
つ変化していきます。
実のところ、彩子がずっと音信不通だった事情などは明確にされないのですが、
それでも様々なエピソードの積み重ねによって、観客は麦子の変化に納得し、
温かな気分になっていきます。
最後はさわやかな感動へと着地。駅に向かう麦子の姿が、とても良い余韻を残
しています。主演の堀北真希も魅力的。ちょっぴり笑って温かな気持ちになれ
る映画です。
欲を言えば、もう少しドラマにヤマ場があっても良かったかな。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年12月25日（水）テアトル新宿にて。午後2時30分の回
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