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リアル〜完全なる首長竜の日〜
（2013年 日本）（上映時間2時間7分）
監督：黒沢清
出演：佐藤健、綾瀬はるか、中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、
松重豊、小泉今日子、浜野謙太
＊TOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.real-kubinagaryu.jp/
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＜ストーリー＞
１年前に自殺を図り、昏睡状態に陥った漫画家の淳美（綾瀬はるか）。幼なじ
みで恋人の浩市（佐藤健）は、淳美を目覚めさせようと、"センシング"という
最新医療を使って彼女の意識下に入り込み、自殺の真相を探ろうとする。セン
シング中に淳美は、「首長竜の絵を探してほしい」と頼む。だが、首長竜の絵
を探しながらセンシングを繰り返す浩市の前に、見覚えのない少年の幻覚が現
われるようになる……。
＜レビュー＞
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人間の意識下を映像化した黒沢清監督の野心作
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黒沢清監督といえば、ホラー映画の鬼才として、日本よりも先に海外で有名に
なった監督。ただし、ホラーといっても、そのものずばりの怖さではなく、人
間の本性に根ざしたような怖さが特徴です。今回は原作ものの映画化ですが、
それでも黒沢監督らしさ十分に発揮されています。
自殺未遂で昏睡状態になった漫画家の女性・淳美を目覚めさせるために、恋人
の浩市が彼女の意識下に入って、会話をするというお話。
その意識下の状況を描写した映像が、この映画の最大の魅力です。何しろ頭の
中の光景だけに何でもあり。現実と虚構が入り乱れて、どこまでが現実で、ど
こまでが虚構かわかりません。
破壊されたドア、水浸しの寝室、無造作に転がる死体（淳美の描くマンガの
シーン）など、怪しく、不気味で、そして美しい映像が満載です。観ていて、
何度も背筋がゾクゾクしてしまいました。
主治医の女性医師、センシングの担当医など、周囲の人々の怪しさも、独特の
怖さを煽り立てます。
何とかして淳美を覚醒させたい浩市は、彼女の無意識下にまで足を踏み入れ、
さらに２人が幼い頃に出会った島にも出かけます。そうするうちに出現する謎
の少年の幻覚。
やがて、ドラマはとんでもないドンデン返しを迎えます。原作を読んでいない
せいもあって、これには心底驚かされました。え？ まさか！
そして、15年前に起きたある事件の真相と、謎の少年の正体が少しずつ明らか
になります。そこにはサブタイトルにもある首長竜が、大きく関わってきます。
後半の展開は、ややクドイ感じもしましたが、２人の愛の物語としては必然な
のかもしれませんね。ああいう形で首長竜が登場するのは意外性タップリ。ア
クションシーンもあって、ラストに向かって盛り上がります。
主人公カップルの愛の物語の側面もあるし、人間の愚かさを告発したような部
分もあります。とはいえ、個人的に最も面白かったのは、人間の意識下を描い
た映像。それだけでも、かなりの野心作で見応えがありました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年6月12日（水）新宿バルト9にて。午後1時40分の回
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