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トランス（TRANCE）
（2013年 アメリカ・イギリス）（上映時間1時間42分）
監督：ダニー・ボイル
出演：ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン、
ダニー・スパーニ、タペンス・ミドルトン、サイモン・クンツ、マット・クロ
ス
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.foxmovies.jp/trance/
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＜ストーリー＞
オークション会場からゴヤの名画『魔女たちの飛翔』が盗まれる。犯行にはギ
ャングと手を組んだ競売人のサイモン（ジェームズ・マカヴォイ）が関わって
いた。だが、彼はギャングのリーダー、フランク（ヴァンサン・カッセル）に
抵抗したため殴られてしまい、その拍子に絵の隠し場所の記憶をなくしてしま
う。フランクは、催眠療法士のエリザベス（ロザリオ・ドーソン）にサイモン
の記憶を取り戻させようとするのだが……。
＜レビュー＞
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観客を迷宮へ誘導するダニー・ボイル監督の巧みなワザ
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『スラムドッグ＄ミリオネア』『127時間』と、ここのところ絶好調のダニー・
ボイル監督の映画（そういえばロンドンオリンピックの開会式の演出もやった
っけ）。
オークション会場からゴヤの名画が盗まれる。犯行にはギャングと手を組んだ
競売人のサイモンが関わっていた。だが、サイモンは絵をどこかに隠し、ギャ
ングのボスのフランクに抵抗。そのため殴られ、絵の隠し場所の記憶をなくし
てしまう。いったいサイモンは絵をどこに隠したのか。フランクは女性催眠療
法士のエリザベスに依頼し、サイモンの記憶を取り戻させようとする……。
ドラマの最大の謎は「サイモンは絵をどこに隠したのか」。だけど、それだけ
ではありません。彼に催眠療法を施すエリサベスも、何やらワケありの人物。
「彼女はいったい誰なのか。何をしようとしているのか」という謎も加わりま
す。
さらに、微妙なのがサイモン、フランク、エリザベスの関係。三者の関係は入
り乱れて二転三転。複雑に変化していきます。演じるジェームズ・マカヴォイ、
ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソンもいい味を出しています。
そして、何よりも厄介なのがエリザベスが行う催眠療法。それによって現れる
サイモンやフランクの潜在意識が、現実の映像と同時に描かれます。スピーデ
ィーなテンポで様々な事実が提示されるものの、現実と虚構が入り混じって、
それが真実なのかどうかまったくわからなくなってきます。
プロットはかなり複雑。それをラストに向かって巧みに組み立てていきます。
一見本筋とは無関係に思える途中のエロティックなシーンなども、実は後で意
味を持ってきます。
映画が進むにつれて、どんどん迷宮へと誘導。観客はまったく先が見通せず、
深い霧に包まれてしまいます。そして、ついにラストで明かされる驚愕の事
実！！！
うーむ、なるほどね。そういえば確かに……と思いつつも、もう一度観て確認
したくなってくる仕掛けです。これもダニー・ボイル監督の狙いなのか？
『トレイン・スポッティング』などの初期作品を思わせる映画。いつも通り音
楽の使い方も効果的。映像のキレといい、迷宮度の高さといい超一級品のエン
タメ作品だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年10月11日（金）TOHOシネマズ渋谷にて。午後2時10分の回
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