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藁の楯 わらのたて
（2013年 日本）（上映時間2時間5分）
監督：三池崇史
出演：大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、
藤原竜也、山崎努
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/waranotate/
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＜ストーリー＞
孫娘を惨殺された財界の大物・蜷川（山崎努）が、「犯人を殺害すれば10億円
を支払う」という全面広告を新聞に出す。観念した犯人の清丸（藤原竜也）は
潜伏先から福岡県警に出頭する。警視庁に身柄を移されることになる清丸。特
別移送チームに選ばれたのは、警視庁のＳＰ銘苅（大沢たかお）と同僚の白岩
（松嶋菜々子）、捜査一課の奥村（岸谷五朗）ら。だが、その行く手には、大
金に目がくらみ清丸の命を狙おうとする人々が立ちはだかる……。
＜レビュー＞
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ストレートに力技で押したスリリングな犯人移送劇
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木内一裕の同名小説を三池崇史監督が映画化。ＳＰ（要人警護）の話はたくさ
んありますが、これはかなりの異色。なにしろ警護対象は凶悪な殺人犯。しか
も、彼を守るきっかけになったのが、被害者の祖父による殺人依頼というので
すから。
祖父が支払うと約束した10億円を目当てに、多くの日本国民が凶悪犯・清丸の
命を狙う中、彼を移送する警視庁ＳＰ銘苅たちのチームの活躍を描きます。
その旅は想定外の連続。当初は車で移送するものの、なぜか極秘のはずのルー
トがリアルタイムにサイトにアップされ、大混乱に。銘苅のとっさの判断で新
幹線での移送に切り替えるものの、そこでもまた情報が漏れて……。
演出にヘタな小細工は一切なし。ひたすらストレートかつスリリングに移送の
旅を描きます。警察の身内も含めて、誰も彼もが清丸の命を狙うという緊迫の
状況。さらに、移送チームの５人の誰かが情報を漏らしているという不可解な
事態。警察官同士の疑心暗鬼や対立もうまく利用しつつ、一瞬も息が抜けない
場面をつくり出します。カーアクションや銃撃戦など、エンタメ映画の定番も
きちんと押さえています。
実は主人公の銘苅は酒酔い運転の常習者に妻を殺された過去を持ちます。それ
を背景に「こんなヤツを守る価値があるのか」「いやいや、それでもやっぱり
仕事だから」という狭間で心が揺れ動きます。社会的テーマも持つストーリー
ながら、それを前面に出すことなく、あくまでもエンターティメントとして描
ききっているのがこの映画の魅力。
正直なところ、かなり強引だったり、都合のよい展開も目立ちます（原作がそ
うなのか？）。しかし、力技でぐいぐい押して、それをあまり感じさせません。
このあたりは、さすが三池監督。時にはやり過ぎ感も目に付く監督ですが、今
回はそれが功を奏しています。
抑制的な演技と爆発する演技を両立させた大沢たかおの演技も見事。ラスト近
くの山崎努との対決は迫力たっぷりです。
この手の日本映画としては、かなりの出来だと思います。スリリングで最後ま
で飽きさせません。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（+1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（+1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2013年4月29日（月）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時15分の回
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