悪いやつら(NAMELESS GANGSTER)


(2012年 韓国)(上映時間2時間13分)
監督・脚本:ユン・ジョンビン
出演:チェ・ミンシク、ハ・ジョンウ、チョ・ジンウン、マ・ドンソク、クァク・ドウォン、キム・ソンギュン、キム・ジョンス、クォン・テウォン、ソン・ヨンチャン
*シネマート新宿にて公開。全国順次公開
ホームページ http://waruiyatsura.com/
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<ストーリー>
1982年、韓国・釜山。密輸品の横流しや賄賂で私腹を肥やす税関職員チェ・イクヒョン(チェ・ミンシク)は、ある時クビになってしまう。その直前、押収した覚せい剤を売りさばこうとして裏社会の若きボス、チェ・ヒョンベ(ハ・ジョンウ)と知り合う。ヒョンベが遠い親戚とわかったイクヒョンは、巧みに彼に接近し、2人はコンビを組むようになる。そんな中、1990年に就任したノ・テウ大統領は組織犯罪の一掃を宣言。イクヒョンとヒョンベに大きな転機が訪れる……。

<レビュー>
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2大スターの存在感が光るパワフルなヤクザ映画
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韓国のヤクザ映画です。ヤクザ映画といえば、抗争、裏切り、当局とのバトルなど、パターンはだいたい決まっているわけですが、それでもグイグイと引っ張られてしまう映画です。

その理由はチェ・ミンシク、ハ・ジョンウという2大スターの抜群の存在感にあります。特にイクヒョンという男を演じるチェ・ミンシクの怪演は見ものです。イクヒョンはもともと税関職員ですが、他の職員ともども密輸品の横流しや賄賂などあくどい事をしています。それが原因でクビになってしまいます。

ところが、クビになる直前に、押収した覚せい剤を売りさばこうとしてヤクザの若いボスのヒョンベと知り合います。ヒョンベが遠い親戚だと知ったイクヒョンは、「大叔父」として彼に接近してコンビを組みます。

やたらに偉そうにしたと思ったら、急にセコク立ち回ったり、何だかとらえどころのないイクヒョン。家族思いの反面、権力に執着します。完全なヤクザでもなく、一般人でもない。そんな微妙な男を演じるチェ・ミンシク。『オールド・ボーイ』で「何だ?コイツは」と驚かされた個性は健在。彼の強烈な個性によって、笑いどころがたくさんあるのもこの映画の特徴です。

そして、若きボスを演じるハ・ジョンウも、冷酷だが義理人情に厚い男を好演。初めのうちは、頭脳のイクヒョンと拳のヒョンベとして、名コンビぶりを発揮していたものの、次第にその関係が変化していくあたりも面白いところ。

やがてノ・テウ大統領が登場し、ヤクザたちは窮地に。捜査の前線に立つ検事(実はコイツもかなりのワル)の追及を交わし、何とか生き残りを図るイクヒョンやヒョンベでしたが……。

ラストの後日談。最後に聞こえるヒョンベの声が何とも意味深です。権力に取りつかれた男の行きつく先は、どこなのでしょうか。

とにかくパワフルで、活き活きとした描写が目立つ映画です。中心人物がほぼ悪人というあたりは、北野武監督の『アウトレイジ』とかぶるところもありますが、個人的にはこの映画のほうが人間臭くて圧倒的に面白かったです。

チェ・ミンシクの怪演だけでも観る価値あり!

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(93点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2013年9月5日(金)シネマート新宿にて。午後1時5分の回


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