ウィ・アンド・アイ(THE WE AND THE I)


(2012年 アメリカ)(上映時間1時間43分)
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:マイケル・ブロディ、テレサ・リン、レイディーチェン・カラスコ、レ
イモンド・デルガド、ジョナサン・オルティス、ジョナサン・ウォーレル、ア
レックス・バリオス
*シアター・イメージフォーラムほかにて公開
ホームページ http://www.weandi.jp/
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<ストーリー>
ニューヨークのブロンクス。高校の学期末の日。高校生たちは下校のため路線
バスに乗り込む。いつものように恋愛話や仲間のスキャンダル話で盛り上がり、
他の乗客の迷惑も顧みずに傍若無人にふるまう高校生たち。だが、バスが進み、
生徒が次々に下車するうちに、少しずつ彼らの本音が見えてくる……。

<レビュー>
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高校生たちの本音が見えてくる実験的映画
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『エターナル・サンシャイン』『恋愛催眠のすすめ』などのヒット作を持つミ
シェル・ゴンドリー監督の新作。とはいえ、かなり変わった映画です。ドラマ
のほとんどが、路線バスの中での高校生たちの会話。しかも、演じるのはプロ
の役者ではなく、実際の高校生たちです。

ドキュメンタリータッチの映画ではあるものの、あくまでもフィクションです。
監督がコミュニティーセンターに集う高校生を取材して、それを脚本にしてい
ます。虚構とリアルをうまくミックスして、いまどきの若者の本音を引き出し
ています。

学期末で明日から夏休みという日。ブロンクスの高校生たちが、下校のために
路線バスに乗ります。最初の章のタイトルは「悪ガキ」。まさにやりたい放題、
傍若無人の生態が描かれます。一般乗客の迷惑など考えない彼らを見て、正直
腹立たしくなりました。途中までは映像的な工夫もあまりなく、退屈し始めた
のですが……。

その後、ドラマは少しずつ変化していきます。生徒たちが一人また一人と下車
するうちに、何人かの生徒の内面にフォーカス。彼らの様々な本音が見えてき
ます。ゲイのカップルのすれ違い、問題を抱えた家族を持つ苦悩などなど。

日米の違いはあるものの、いまどきの若者の実像が伝わってくるのと同時に、
自分の高校生時代に思いをはせて共感する部分も見えてきたりします。自分と
周囲との折り合いをつけるのがヘタで、ついお互いに傷つけ合ってしまう。そ
ういうことって、誰にでもありますからね。

ミュージック・ビデオ出身の監督らしく、途中からは回想シーンを中心にポッ
プな映像も登場して、ドラマに広がりを持たせます。

最初のほうの悪ガキたちのバカ騒ぎが、最後になるとまったく違う哀愁漂う
シーンに転化。地味で実験的な映画ですが、前半の退屈さを我慢すると最後に
は心が動くかも。

ちなみに高校生たちに加えて、バスの運転手のおばちゃんもいい味出していま
す。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(85点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2013年5月12日(日)シアター・イメージフォーラムにて。午後1時45分の回


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