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横道世之介
（2012年 日本）（上映時間2時間40分）
監督・脚本：沖田修一
出演：高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、朝倉あき、黒川芽
以、柄本佑、佐津川愛美、堀内敬子、井浦新、國村隼、きたろう、余貴美子
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://yonosuke-movie.com/
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＜ストーリー＞
1987年、長崎の港町で生まれ育った18歳の横道世之介（高良健吾）は、大学進
学のために上京する。入学式で出会った倉持（池松壮亮）とサンバサークルに
入り、同級生の加藤（綾野剛）らと友情を育む一方、年上の女性・片瀬千春
（伊藤歩）に片思いをしたり、ダブルデートで知り合ったお嬢様の与謝野祥子
（吉高由里子）と親しくなるのだが……。
＜レビュー＞
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フツーの大学生のフツーの日常が心にしみる
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吉田修一の小説の映画化。フツーの大学生のごくフツーの日常を描いただけの
青春映画。それなのに、なぜかとっても面白くて、心にしみるのです。
主人公の横道世之介は、名前こそ変わっているものの、それ以外はすべてフ
ツー。素直だけれど、優柔不断で、鈍感で、どこにでもいそうな人物です。
そんな彼が長崎から上京し、大学に入学してからの1年間を描きます。友達がで
きたり、サークルに入ったり、年上の謎の女性に憧れたり、たまたま知り合っ
たお嬢様と仲良くなったり、帰郷したり……。
これといった大きな事件もない学生生活が2時間40分も描かれるのに、まったく
飽きることがありませんでした。
その最大の理由は、登場人物と観客との距離の近さ。世之介たちがフツーの大
学生だからこそ、「そういえば自分も……」と誰もが思ってしまうのです。80
年代の話だけに当時の時代性も盛り込んでいますが、それ以外の世代も自分の
青春時代を投影できるのでは？
周囲の人々を明るくする世之介の不思議な性格を生かした、オフビートの笑い
も魅力です。何ともゆるい、人を喰った会話が観客を笑わせます。途中で何度
か友人たちの現在の姿が挿入されて、彼らが世之介について語るシーンがある
のですが、そこでの友人たちの顔は一様に輝いています。それが世之介の魅力
を象徴しています。
実は、この映画には途中で大きな転機が訪れます。その後、世之介がどうなっ
たのかが意外に早く明かされてしまうのです。しかし、一見早まったかのよう
なこの展開が後半のドラマを盛り上げます。
後半に描かれるのは世之介とお嬢様の祥子との恋愛。何とも初々しく、キラキ
ラした恋愛です。アパート前の雪の中での美しいキスシーン。それが美しいだ
けでなく切なく感じられるのは、その前に明かされた事実ゆえでしょう。
現在の祥子が当時を思い起こすシーン。そして、世之介の母のモノローグで締
めるエンディング。心にしみました。
沖田修一監督の演出に加え、高良健吾、吉高由里子の演技も印象的。特に吉高
が最高！
最近の青春映画の中では出色の出来。いつまでも余韻が残る映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（95点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年2月24日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後5時10分の回
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