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容疑者Ｘ 天才数学者のアリバイ（SUSPECT X）
（2012年 韓国）（上映時間1時間59分）
監督：パン・ウンジン
出演：リュ・スンボム、イ・ヨウォン、チョ・ジヌン
＊シネマート六本木にて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.yougisha-x.net/
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＜ストーリー＞
高校の数学教師のソッコ（リュ・スンボム）は、隣室のファソン（イ・ヨウォ
ン）が、元夫を殺害したことを知る。彼女のために完璧なアリバイを考え出す
ソッコ。ファソンは警察に疑われるが、ウソ発見器もすり抜けてしまう。だが、
ソッコの高校時代の同級生で刑事のミンボム（チョ・ジヌン）は、彼女が犯人
だと確信して執拗に追跡する……。
＜レビュー＞
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日本版でもおなじみの東野圭吾原作の韓国版。物理学者がいない！
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東野圭吾の小説「容疑者Xの献身」を韓国の女性監督パン・ウンジンが映画化。
この「容疑者Xの献身」は日本でも2008年に福山雅治主演で映画化されました。
数学教師の隣人の女性が元夫を絞殺。それを知った数学教師は、好意を持つ彼
女のために隠ぺい工作を指南。それを刑事が天才物理学者の協力で追跡する…
…。
というのが原作＆日本版のストーリー。ところが、なんとこの韓国版には福山
雅治が演じた天才物理学者が登場しないのです！
その分話がシンプルになったため、ミステリー的な面白さには欠けます。事件
の顛末こそ分かっているものの、それにまつわる二重、三重のアリバイ工作の
謎に迫るのが、原作＆日本版の大きな魅力。それをかなりはしょってしまって
います。
その代わりじっくりと描かれるのが人間ドラマです。偶発的に元夫を殺してし
まった女性ファソン、彼女のためにアリバイ工作する数学教師のソッコ、ソッ
コの高校の同級生でファソンを追う刑事のミンボム。光と影を巧みに使い、手
持ちカメラの揺れる映像、表情やしぐさのアップなどで、３人の心理が繊細に
描写されます。
ファソンを思うゆえにストーカー化していくソッコ、最初は心を許すものの次
第に不信感を持つファソン、そしてソッコに疑惑を持ち始め苦悩するミンボム。
このあたりの心理の変化もうまくとらえられています。
そして、それぞれの思いが爆発するクライマックス。ソッコがある行動に出て、
ミンボムから彼の真意を知らされたファソンは涙します。本当の「献身」がこ
こで明らかになり、このドラマは完全な愛のドラマになるのでした。いかにも
韓国映画らしい情感にあふれエンディングも印象的。
主要キャストの３人もなかなかの熱演。個人的にはファソン役のイ・ヨウォン
が気になりました。
ミステリー的な魅力には欠けるものの、人間ドラマとしては見応えがあります。
原作や日本版と比較して観るのも面白いかもしれませんね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年3月8日（金）マスコミ試写（シネマート六本木）にて
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