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許されざる者
（2013年 日本）（上映時間2時間15分）
監督・脚本：李相日
出演：渡辺謙、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、近藤芳正、國村隼、
滝藤賢一、小澤征悦、三浦貴大、佐藤浩市
＊丸の内ピカデリーほかにて公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/yurusarezaru/
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＜ストーリー＞
明治13（1880）年の北海道。人里離れた場所で暮らす元幕府軍兵士の釜田十兵
衛（渡辺謙）の家に、元同僚の金吾（柄本明）がやってくる。女郎の顔を切り
裂いた2人の開拓民を討ち、賞金を折半しようというのだった。かつて「人斬り
十兵衛」として恐れられたものの、亡き妻との約束で今は刀を捨てた十兵衛は、
いったん誘いを断るが、幼い子供たちの将来を考えて誘いに応じる……。
＜レビュー＞
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骨太で重みのあるオスカー映画のリメイク
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クリント・イーストウッドがアカデミー作品賞、監督賞を獲得した名作を『フ
ラガール』『悪人』の李相日監督が、自ら脚本も手がけてリメイクしました。
原作は西部劇。それを明治維新後の北海道に舞台を移したことが大成功です。
荒涼とした大地、幕府の残党を追う新政府軍、新政府内部の薩長の対立などが、
ドラマの設定として効果的に使われています。
ストーリーの骨組みはオリジナルとほぼ同じようです。「人斬り」と恐れられ
た元幕府軍の兵士で、今は刀を捨て農民として暮らしている主人公が、かつて
の同僚に誘われて賞金稼ぎの旅に出ます。
そのターゲットになる相手が、女郎の顔を切り裂いた男たちで、賞金は女郎た
ちが出しているのが面白いところ。さらに、主人公と元同僚との旅に絡む人物
としてアイヌの青年を登場させ、アイヌ民族迫害のエピソードを盛り込むなど、
虐げられた人々に対する思いが明確になっているのも特徴的です。
映像の力強さも半端ではありません。広大な原野を走る馬、リアルなオープン
セットなど、思わず引き込まれるド迫力の映像です。
やがて、目的の町に着く主人公と元同僚。しかし、そこには冷酷で暴力的な警
察署長が待っています。
というわけで、クライマックスは主人公と敵との大バトルになるのですが、こ
れがまあ壮絶なんですよ。痛みがリアルに伝わってくるようで、重苦しさで胸
が押しつぶされそうになりました。
いや、重苦しさはここだけではなくて、全編を包んでいます。賞金稼ぎの話と
いえば、エンタメに走りがちですが、そういうところは全くなし。スカッとす
るエンタメ活劇を期待すると裏切られます。
その代わり、人間の業の深さや人の命を奪うことの意味などのテーマが、観客
を直撃します。いかにも李監督らしい骨太で、重みのある映画なので、そうい
う点での見応えは十分でしょう。
主要キャストが実力者ぞろいで、さすがの演技力を見せているのも見どころ。
ただし、佐藤浩市演じる警察署長が、いかにもエンタメ映画の悪党みたいなの
がもったいないところ。あまりにも重苦しい映画なので、わかりやすいキャラ
にして観客サービスしようとしたのかしら？
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2013年9月16日（月）池袋シネマサンシャインにて。午後3時50分の回
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