|
１７歳（JEUNE & JOLIE）
（2013年 フランス）（上映時間1時間34分）
監督・脚本：フランソワ・オゾン
出演：マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディーヌ・ペラス、フレデリック・ピエ
ロ、シャーロット・ランプリング、ヨハン・レイゼン、ファンタン・ラヴァ、
ナタリー・リシャール、ロラン・デルベック
＊新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて公開
ホームページ http://17-movie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
17際の少女イザベル（マリーヌ・ヴァクト）は、家族とバカンスにやって来た
リゾート地でドイツ人青年を相手に初体験をする。パリに戻った彼女は、ネッ
トで知り合った男たちを相手に売春をするようになる。ある日、売春相手の男
がホテルの部屋で腹上死し、売春の事実が母をはじめ家族に発覚してしまうの
だが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
揺れる思春期をリアルに描いたオゾン監督
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『８人の女たち』『スイミング・プール』『危険なプロット』など、次々に秀
作を撮り続けるフランソワ・オゾン監督。彼の映画にハズレはナシ。もはや巨
匠といってもいいかもしれません。
今回もハズレはありません。お話は17歳の女の子が売春するというスキャンダ
ラスなもの。主人公のイザベラという女の子が、夏のバカンスで初体験をして、
秋にパリに戻ってから売春をします。しかし、冬に相手の男が死んだことから
事実が発覚してしまいます。そして春になって……。
ネタがネタだけに、Ｒ−18指定でエッチなシーンも登場します。しかし、そん
なにエロい感じではありません。それもそのはず、描かれているのは、大人と
子供の狭間にいる女の子の不安定さや満たされない思い。セックスを切り口に
しつつも、そこにとどまらない世界を持った映画なのです。
特徴的なのは繊細な心理描写。主人公の心理をセリフや表情でリアルに切り取
っていきます。被写体との距離感も絶妙で、主人公に寄り添ったり、少し突き
放したり、その場に応じて柔軟に変化させます。
しかも、そこに観客の想像に委ねる部分を残しています。親への反発、性への
目覚め、家を出た父親への思いなど、複雑な主人公の心理のヒントをばらまく
ものの、すべてを明確に語るのではなく、後は観客の想像に任せます。
ラストも明確な結論を出すわけではありません。死んだ男の妻を登場させ、主
人公の心を揺さぶらせます。最後に映される主人公の表情が印象的。はたして
彼女は成長したのか。それとも……。そこもまた観客の想像に任せます。
17歳の女の子の危うさを体現したような主演のマリーヌ・ヴァクトが絶品。ラ
ストに登場するシャーロット・ランプリングの存在感も印象に残ります。
青春とは何とも厄介なものですね。主人公が売春した理由は、もしかしたら本
人にもわからないのかも。そのぐらい不透明な思春期を、これだけリアルに描
いて見せるのだから、さすがにオゾン監督です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
2014年2月21日（金）新宿ピカデリーにて。午後1時50分の回
[「し」のページ] [「数字」のページ] |
|