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オール・イズ・ロスト 最後の手紙（ALL IS LOST）
（2013年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督・脚本：Ｊ・Ｃ・チャンダー
出演：ロバート・レッドフォード
＊TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
ホームページ http://allislost.jp/
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＜ストーリー＞
自家用ヨットに乗りインド洋をたった一人で航行する男（ロバート・レッドフ
ォード）。だが、ある時、漂流コンテナと衝突し船体に穴が開いてしまう。浸
水によって通信手段も途絶え、完全に孤立した彼を次々に試練が襲う。絶望的
な状況の中、生き延びるために必死で努力を続けるのだが……。
＜レビュー＞
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登場人物は一人でセリフもなし。圧巻の映像劇
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一人の男を乗せたヨットが航海中にコンテナにぶつかり、船体を損傷。浸水で
のっぴきならなくなった男は、やがて救命ボートに乗り移り漂流。必死で生き
延びようとするのだが……という、ただそれだけのお話です。
冒頭は、ギリギリまで追い詰められた男が家族に宛てた手紙を朗読するところ。
でも、セリフらしいセリフはこれだけです。あとは、途中で無線に向かってＳ
ＯＳを叫んだり、絶望のあまり一度だけ「ファック！」と吐き棄てたり、通り
かかった船に助けを求める程度。こういう映画につきものの回想シーンや独白
はまったくありません。
基本的に主演の（というか唯一の出演者の）ロバート・レッドフォードの演技
と映像、音楽だけで見せていきます。それでも少しも飽きることがありません。
主人公の男は、あらゆる手段で生き延びようとします。最初に乗っていたヨッ
トでは、船体を修理し、嵐に立ち向かいます。沈没しかけたヨットからサバイ
バルキットを手に救命ボートに移った後も、工夫して海水を真水に変えたり、
魚を釣ろうとして奮闘します。
もちろんその間には、命の危険が何度もあり、絶望する瞬間も訪れます。しか
し、それでも彼はあきらめません。彼がどんな人間なのか説明は一切ありませ
んが、全編を通して見るとその人となりが自然に伝わってきます。
男が苦闘する姿だけでなく、水中カメラでとらえた海中の美しい映像も心にし
みます。
はたして最後に男を待っているものは何なのか。ラストで、ボートを燃やすと
いう究極の賭けに出る男の姿が、胸に迫ります。
それにしても、スゴイ映画です。ドキュメンタリータッチで、起きることをそ
のまま描いているのに、ちゃんとしたドラマになっているからエライもの。ど
うしてオスカーの主要部門にノミネートされなかったのか不思議です。あまり
に実験的で、保守的な審査員のお好みに召さなかったのかしら。
今年77歳になるのに、こういう実験的な映画に出演して、体を張った演技を見
せたレッドフォードの若々しさに脱帽です。ありきたりの映画に飽きた方には
ぜひオススメします。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（94点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年3月14日（金）TOHOシネマズ シャンテにて。午後12時10分の回
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