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新しき世界（NEW WORLD）
（2013年 韓国）（上映時間2時間14分）
監督・脚本：パク・フンジョン
出演：イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、パク・ソンウ
ン、ソン・ジヒョ、チュ・ジンモ、チェ・イルファ、チャン・グァン、キム・
ビョンオク
＊丸の内TOEI、シネマート新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.atarashikisekai.ayapro.ne.jp/
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＜ストーリー＞
韓国最大の犯罪組織で８年間も潜入捜査を続けてきた警察官のジャソン（イ・
ジョンジェ）。同じ中国系で組織のナンバー２、チョン・チョン（ファン・ジ
ョンミン）の信頼を得て、その右腕となったが、いつ正体がばれるかわからな
い恐怖の中、警察へ戻る日を待ちわびていた。そんなある日、組織の会長が急
死し、跡目争いが勃発。ジャソンの上司カン課長（チェ・ミンシク）は、これ
を組織壊滅の絶好のチャンスと考え、警察に戻りたいというジャソンの希望を
無視して捜査継続の命令を下す。そして、"新世界"と名付られけたプロジェク
トがスタートするのだが……。
＜レビュー＞
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潜入捜査官の葛藤を巧みな脚本で描く
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韓国の犯罪映画。犯罪組織に潜入した捜査官の運命を描きます。
この手の映画は香港の名作『インファナル・アフェア』をはじめたくさんある
し（おまけに『インファナル〜』は警察に乱入したヤクザとヤブルで描いてい
るし）、そんなに期待しないで観たのですが、これが予想をはるかに超える面
白さでした。
物語は犯罪組織の大ボスが亡くなり、その後継争いに警察が介入。主人公の潜
入捜査官が上司の指示で暗躍するというもの。
冒頭の犯罪組織内部での粛清のシーン、それに続く大ボスの死亡シーンから、
早くもスクリーンに引き込まれます。何だ？これは。
「身分がばれるのでは？」という主人公の恐怖や、「いったいいつまでこんな
ことやるんだ！」という絶望感がドラマの核になるのは、この手の映画の常道。
それでも巧みな脚本で飽きさせません。肝心のところを全部見せずに、真相を
先延ばしするところなど心憎い展開の連続。
主人公を中国系韓国人にして、犯罪組織内部での同じ民族の絆を効果的に使う
あたりも見事です。全体を包む緊張感もただならぬものがあります。同時に容
赦ない暴力描写など激しさも持ち合わせているのが大きな特徴。いかにも韓国
映画らしいタッチです。
中心になる人物は、主人公の捜査官イ・ジャソンと彼を派遣したカン・ヒョン
チョル課長。演じるイ・ジョンジェ、チェ・ミンシクの対決が迫力満点。不安
や不信、葛藤を抱えたジョンジェ、非人間性と人間性を同居させたミンシク
（相変わらずクセモノぶりが全開）。どちらも甲乙つけがたい演技です。
終盤になってドラマはどんどん先が読めなくなってきます。え？まさか。そう
くるの？の連続。このあたりの脚本も巧みですねぇ。脚本と監督は『悪魔を見
た』『生き残るための３つの取引』の脚本で注目を集めたパク・フンジョンで
す。
この手の映画は、潜入捜査官がこの先どちらの道を行くのか、ボカして終わる
ケースも多いのですが、この映画では主人公の行く道を明確にします。そして、
その背景として、ある人物との友情を示して終わります。
ハリウッド・リメイクが決まったというのも納得。見応え十分の犯罪映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年2月3日（月）シネマート新宿にて。午後3時35分の回
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