バルフィ! 人生に唄えば(BARFI!)


(2011年 インド)(上映時間2時間31分)
監督・脚本:アヌラーグ・バス
出演:ランビール・カプール、プリヤンカー・チョープラ、イリヤーナ・デク
ルーズ
*TOHOシネマズシャンテ、新宿シネマカリテほかにて全国公開
ホームページ http://barfi-movie.com/
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<ストーリー>

耳が聞こえず、話すこともできない青年バルフィ(ランビール・カプール)は、
身ぶり手ぶりで思いを伝える街の人気者。やがて彼は資産家の男性と婚約中の
シュルティ(イリヤーナ・デクルーズ)と恋に落ちるが、2人の間には様々な
壁が立ちはだかる。一方、バルフィの幼なじみの自閉症のジルミル(プリヤン
カー・チョープラ)は、家族の愛に恵まれず心を閉ざして生きてきたが、偶然
バルフィと再会して惹かれていく……。

<レビュー>
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1人の男と2人の女。様々な魅力が詰まったインド映画
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インド映画の底力を感じさせられる映画です。エンタメ性の高い伝統を受け継
ぎつつ、新しい風を送り込んでいます。

ドラマの中心はラブロマンス。耳が聞こえず、話すこともできない主人公の青
年バルフィは、初め他人と婚約中の美女のシュルティと恋仲になります。しか
し、彼女は婚約中ゆえ思い通りにはなりません。まさに典型的な許されざる恋
の物語。

そして、そこに絡んでくるのが、バルフィの幼なじみの自閉症の少女ジルミル。
ある事情からバルフィが彼女の誘拐を企てたことがきっかけで、2人の仲は接
近していきます。

というわけで、1人の男と2人の女の三すくみの恋物語なのですが、それにと
どまらないお楽しみが満載です。まず何といってもバルフィのキャラが秀逸。
天真爛漫な自由人の彼のユーモラスな一挙手一投足が、自然に笑いを誘います。
何だかチャップリンを連想させるような演技です。

一方、ロマンスの面では、言葉以外でバルフィと2人の女性との交流を描きま
す。何しろバルフィは話せないのでセリフは最低限。それに代わって登場人物
の表情やしぐさで彼らの心理を描きます。また、街のようすや自然の風景など
の美しい映像も効果的です。

さらに音楽の使い方も見事。インド映画というと、突然出演者が歌ったり踊っ
たりするイメージがありますが、そうではなくドラマに自然に溶け込ませる形
で、歌を通じて様々なことを語らせています。

時制を行き来して、ドラマに奥行きを与えているのも、この映画の特徴。1972
年、1978年、そして登場人物たちが老いた現在を縦横無尽に行き来します。

適度なアクションもあったり、『雨に唄えば』などの名画にオマージュを捧げ
たシーンなどもあったり、もういろんな要素がぎっしり詰まっています。

それでいて、ラブロマンスの醍醐味は最後まで失われません。バルフィとジル
ミルのピュアすぎる愛が感動を誘い、さらにそれを見守るジュルティの複雑な
気持ちが切なさをあおります。

ラストは現代に戻って、ラブロマンスを人間讃歌につなげる心憎い展開。気持
ちよく映画館を後にできました。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(90点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

2014年9月6日(土)シネマカリテにて。午後12時40分の回


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