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ビフォア・ミッドナイト（BEFORE MIDNIGHT）
（2013年 アメリカ）（上映時間1時間48分）
監督：リチャード・リンクレイター
出演：イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、シーマス・デイヴィー＝フィ
ッツパトリ
ック、ジェニファー・プライアー、シャーロット・プライアー、ウォルター・
ラサリー
＊Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開
ホームページ http://beforemidnight-jp.com/
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＜ストーリー＞
双子の娘に恵まれ、パリで一緒に暮らすジェシー（イーサン・ホーク）とセ
リーヌ（ジュリー・デルピー）。友人に招かれてバカンスのためギリシャの海
辺の町へやってきた2人だが、ジェシーは元妻とシカゴで暮らす息子ハンクが気
がかりで、セリーヌは環境運動家としての仕事に不安を感じていた。そんな中、
ジェシーがアメリカへの引っ越しを提案したことから、2人は言い合いを始める
……。
＜レビュー＞
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40代のカップルの今を示す魅力的な会話
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リチャード・リンクレイター監督、イーサン・ホーク＆ジュリー・デルピー主
演のシリーズ第3作。列車の中で出会ったアメリカ人のジェシーとフランス人の
セリーヌが、夜明けまでの時間を過ごした『ビフォア・サンライズ 恋人まで
の距離（ディスタンス）』（1995）、9年後の2人の再会を描いた『ビフォア・
サンセット』（2004）に続き、それからさらに9年経った2人の現在を描きます。
とはいえ、実は、私は過去の２作を観ていません。しかし、そんなことに関係
なくとっても面白い映画でした。何が面白いかというと会話です。というか、
この映画はほとんど会話のみで構成されています。
映画の冒頭は、ジェシーがアメリカに帰る10歳の息子を空港に送るシーン。息
子は別れた妻とシカゴで暮らしていて、夏休みの間だけジェシーが滞在するギ
リシャに来ていたのです。
続くシーンは、ジェシー、セリーヌ、そして２人の間に生まれた双子の娘が、
空港から車で移動するシーン。ジェシーは息子を心配するあまり、アメリカへ
の引っ越しを提案します。しかし、新たな仕事に燃えるセリーヌは、それを嫌
がります。
その後は、2人が滞在する家の人々とのランチでの会話、道を歩く2人の会話、
そしてホテルでの2人の会話などが続きます。
というわけで、40代を迎えて不安と惑いの真っただ中にいる2人の今を、会話の
みで描いていきます。車の中のシーンや、延々と道を歩くシーンなど長回しの
シーンが多いのですが、会話を聞いていても飽きることがありません。
ジェシーが作家だということもあって、ユニークなたとえ話など示唆に富んだ
セリフが満載。ユーモアもたっぷりです。もちろん、そこにはシリアスだった
り、深いセリフもあります。2人の愛情をはじめ、人生、死など様々なテーマが
飛び出します。そして、そこには彼らのこれまでの人生もきちんと織り込まれ
ているのです。
何とも魅力的なセリフです。ヘタなセリフだったら、中年カップルのつまらな
いケンカにしかならないお話。リンクレイター監督に、主演の2人も加わって3
人で組み立てたそうですが、いったいどうすればこんなに素晴らしいセリフが
書けるのか。脚本家のはしくれとして、正直、嫉妬してしまいました。
最後のホテルでの会話で、いったん2人の仲は決定的に悪化します。しかし、そ
の後のタイムマシンの印象的なたとえ話で、彼らの行く末を観客の想像に委ね
ます。
会話劇として最高峰の部類に入る映画かもしれません。エンタメ映画のような
派手さはありませんが、会話の妙をじっくり味わってください。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（94点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年1月19日（日）新宿バルト9にち。午後3時30分の回
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