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ブルージャスミン（BLUE JASMINE）
（2013年 アメリカ）（上映時間1時間28分）
監督・脚本：ウディ・アレン
出演：ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン、ルイス・Ｃ・Ｋ、
ボビー・カナヴェイル、アンドリュー・ダイス・クレイ、サリー・ホーキンス、
ピーター・サースガード、マイケル・スタールバーグ
＊新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開
ホームページ http://blue-jasmine.jp/
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＜ストーリー＞
ニューヨークの資産家ハル（アレック・ボールドウィン）と結婚し、セレブ生
活を送っていたジャスミン（ケイト・ブランシェット）。だが、夫の詐欺行為
が発覚し、結婚生活が破綻。財産を失った彼女は、サンフランシスコで庶民的
な生活を送る妹ジンジャー（サリー・ホーキンス）のもとに身を寄せる。虚栄
心が捨てられず不慣れな仕事や生活に神経を擦り減らせ、次第に精神が不安定
になっていくジャスミン。それでも再び華やかな世界へ返り咲こうと躍起にな
るのだが……。
＜レビュー＞
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セレブ意識が捨てられない女性の哀切漂う姿
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ウディ・アレン監督の映画には独特の個性がありますが、この映画はいつもと
ちょっと違った雰囲気です。
出だしはいつものように、ジャズをバックに古風なタイトルが流れます。そし
て登場する飛行機。そこに乗る主人公のジャスミンは、隣の乗客に自分の身の
上話をしゃべり倒します。もう、ここだけで、この人が普通の状態でないこと
がわかります。
実はジャスミンは、大金持ちの夫とニューヨークで暮らしていたものの、夫が
詐欺で逮捕され結婚生活が破綻。財産をなくして、サンフランシスコの妹のと
ころまでやって来たのでした。
そんな状況にもかかわらず、セレブ意識が捨てられないジャスミン。それゆえ
妹の彼氏にも難癖をつけます。ようやく歯科医の受付の仕事に就くものの、面
倒な患者の対応に加え、ジャスミンに一方的に思いを寄せる歯科医の勘違いア
タックにもあいます。おかげでますます精神的におかしくなります。
いやはや、何とも困ったジャスミンですが、ウディ・アレンは持ち前のシニカ
ルな視点を保ちつつ、冷静に彼女の言動を描いていきます。同時に、かつてセ
レブだった頃の出来事を合間合間に挟み込んでいきます。
最初のうちは「お前は何様だ！」と怒ったり、「やれやれ参ったな」と笑った
りするのですが、だんだん彼女が哀れに思えてきます。
そんなジャスミンに、再び上昇のチャンスが到来。ある外交官の男性と親しく
なるのですが、そこで彼女が取った行動が、これまた困ったもの。いくらセレ
ブに戻りたいからって、それはないでしょう。
とはいえ、あそこまで極端ではないにしても、好きな人に見栄を張るのはよく
あることで、そのへんの微妙なリアルさもこの映画を面白くしています。
ジャスミンの恋の行方と、妹ジンジャーの恋愛模様、そしてかつてセレブ転落
を招いたジャスミンの行動をうまく組み合わせたクライマックスの展開が見事。
さすがウディ・アレンです。
ラストに流れるジャズとジャスミンの姿が何とも切ないですねぇ〜。
というわけで、ウディ・アレンらしさはあるものの、この映画は完全にケイ
ト・ブランシェットの映画。全身で転落するセレブの人生を演じた演技は、ま
さにオスカー主演女優賞にふさわしいものなのでした。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年5月10日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後4時の回
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