ぼくを探しに(ATTILA MARCEL)


(2013年 フランス)(上映時間1時間46分)
監督・脚本・音楽:シルヴァン・ショメ
出演:ギョーム・グイ、アンヌ・ル・ニ、ベルナデット・ラフォン、エレー
ヌ・ヴァンサン、ルイス・レゴ、ファニー・トゥーロン
*シネマライズ、シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開
ホームページ http://bokuwosagashini.com/
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<ストーリー>
幼い頃に両親を亡くし、そのショックで言葉を失ったポール(ギョーム・グ
イ)。ダンス教室を営む風変わりな伯母姉妹に育てられ、ピアニストを目指し
て練習に明け暮れる。そんなある日、彼は同じアパルトマンに住む謎の女性マ
ダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)と出会う。彼女が作ったハーブティーを
飲んだポールは、赤ん坊の頃の記憶を呼び覚ます。それ以来、ポールは、マダ
ム・プルーストのハーブティーを飲んで過去の記憶を取り戻していくのだが…
…。

<レビュー>
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言葉をなくした青年のユニークすぎる自分探しのドラマ
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はっきり言って、かなり変わったファンタジー・コメディです。でも、『アメ
リ』のプロデューサーと、アニメ監督(『ベルヴィル・ランデブー』『イリ
ュージョニスト』のシルヴァン・ショメ監督)の作品だと聞いて、「なるほど
ねぇ〜」と思いました。

主人公は両親の死がショックで言葉なくした青年ポール。叔母姉妹に育てられ、
ピアニストを目指す彼は、ある日謎のマダムと出会います。彼女の作るハーブ
ティーを飲むと、封印された彼の記憶がよみがえります……。

というわけで、邦題の『ぼくを探しに』からもわかるように、心に深い傷を負
い悪夢にうなされる青年が、謎のマダムの出現をきっかけに自分探しをする話
です。ただし、単純な自分探しのドラマではありません。

何しろ映像がユニークすぎます。アニメをそのまま実写にしたような鮮やかす
ぎる色彩感覚。原色がたくさんスクリーンを覆います。しかも、登場する人物
やアイテムも、みんなユニークです。

特に主人公ポールがハーブティーを飲んで眠りにつき、記憶をよみがえらせる
シーンがスゴイ。カエルの楽団など不思議なもののオンパレード。一見普通に
見えるポールの両親なども、どことなく変わっています。

そして、大きな特徴が、あちこちで突然ミュージカルが始まること。登場人物
が突然歌い踊ります。

そんなユニークなシーンは、ポールの記憶の世界だけでなく、現実の世界でも
展開します。そこから何とも言えない楽しさが生み出される仕掛けです。まる
でおもちゃ箱をひっくり返したような面白さ。こういうのに一度はまると、抜
けられなくなっちゃうかもね。

楽器が重要な要素になっているのもこの映画の特徴。ポールはピアノを弾くし、
謎のマダムはウクレレを弾きます。また、ポールが出会う中国人の娘さんはチ
ェリストで、ポールのピアノと胡弓で合奏したりします。

自分探しのドラマ的には、ポールは途中から父親の暴力の陰に悩まされます。
しかし、最後に意外な真実が明かされます。悲しい話だけれど、けっしてあと
味は悪くありません。ポールも前向きに人生を歩み出します。

とにかくユニークで、楽しくて、ほのぼのした映画です。独特の映像世界だけ
でも、一見の価値はありますね。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(86点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2014年8月8日(金)シネ・リーブル池袋にて。午後3時10分の回


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