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大統領の執事の涙（LEE DANIELS' THE BUTLER）
（2013年 アメリカ）（上映時間2時間12分）
監督：リー・ダニエルズ
出演：フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、ジョン・キューザッ
ク、ジェーン・フォンダ、キューバ・グッディング・Ｊｒ、テレンス・ハワー
ド、レニー・クラヴィッツ、ジェームズ・マースデン、デヴィッド・オイェロ
ウォ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、アラン・リックマン、リーヴ・シュレイ
バー、ロビン・ウィリアムズ、クラレンス・ウィリアムズ三世、ヤヤ・アラフ
ィア、ミンカ・ケリー、ネルサン・エリス、マライア・キャリー、アレック
ス・ペティファー
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://butler-tears.asmik-ace.co.jp/
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＜ストーリー＞
アメリカ南部ジョージア州の綿花畑の奴隷の子として生まれたセシル・ゲイン
ズ（フォレスト・ウィテカー）は、父を白人に殺され、母を廃人にされて故郷
をあとにする。やがて町に出たセシルは、高級ホテルのボーイとなり、さらに
ホワイトハウスの執事に抜擢される。歴代大統領たちの信頼を獲得していくセ
シルだったが、長男が公民権を求めて過激な反政府運動に身を投じていく……。
＜レビュー＞
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黒人執事の生き様を通してアメリカ現代史を描く
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アイゼンハワーからレーガンまで７人の大統領に仕えた黒人執事のドラマ。実
話をベースに組み立てたようです。監督は『プレシャス』のリー・ダニエルズ。
南部の農園で生まれ、父を白人に殺され、母を廃人にされた主人公セシルが、
やがて都会に出てホテルのボーイになり、さらにホワイトハウスの執事になっ
て成功するというのがドラマの一つの核。ひたすら白人に認められるために、
仮面をかぶって生きるセシルの奮闘が描かれます。
それと同時に彼の家庭生活も描かれます。特に白人に従順に仕えるセシルに反
発するように、過激な反体制運動にのめり込む長男との父子の対立が大きなポ
イント。そこに仕事に熱中する夫の不在に心を痛める妻や、後にベトナム戦争
で戦死する次男などが絡んできます。
そんなセシル一家のドラマの背景には、世の中の様々な事件が登場します。フ
リーダム・ライド運動、リトルロック高校事件、セルマのデモ行進、キング牧
師暗殺など、黒人差別とそこからの解放に関する出来事を中心に、ベトナム戦
争、ウォーターゲート事件、はてはオバマ政権誕生までが映し出されます。
つまり、これはセシルという人物を通して描いたアメリカ現代史を描いた作品
でもあるのです。
仲違いしていた父と息子ですが、後半、セシルは次第に自分の過去を振り返り、
少しずつ変化し、そして息子との関係にも変化が訪れます。このあたりやや教
科書的で、お行儀のよい展開ですが、誰でも感動させて温かな気分にさせる効
果は抜群。
主演のフォレスト・ウィテカーの熱演に加え、妻役のオプラ・ウィンフリーも
印象的な演技。この人、テレビの人気司会者らしいですね。
そして、歴代大統領やその家族にも注目。ジョン・キューザックのニクソン、
ジェーン・フォンダのレーガン夫人、ジェームズ・マースデンのジョン・Ｆ・
ケネディ、ロビン・ウィリアムズのアイゼンハワーなど、顔はそんなに似てい
ないけれど、みんな味のある演技を披露しています。
黒人の出世物語としても、家族のドラマとしても、アメリカ現代史の映画とし
ても、実によくできた作品です。あまりにもよくまとまり過ぎているのが、逆
に物足りない感じもあったりして。それがオスカーに引っかからなかった原因
かな……。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年3月1日（土）丸の内ピカデリーにて。午後4時の回
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