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小さいお家
（2013年 日本）（上映時間2時間16分)
監督：山田洋次
出演：松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋
爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、林家正蔵、ラサール石井、あき竹城、松
金よね子、螢雪次朗、市川福太郎、秋山聡、笹野高史、小林稔侍、夏川結衣、
木村文乃、米倉斉加年
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.chiisai-ouchi.jp/
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＜ストーリー＞
大学生の健史（妻夫木聡）は、亡くなった大伯母・布宮タキ（倍賞千恵子）か
ら彼女の自叙伝を託される。そこには、タキが女中として働いた家族の小さな
秘密が綴られていた。昭和初期、山形から出てきたタキ（黒木華）は、東京郊
外に建つモダンな赤い三角屋根の小さな家で女中として働き始める。家の主人
で玩具会社に勤める平井雅樹（片岡孝太郎）、妻の時子（松たか子）、5歳にな
る息子の恭一とともに穏やかな日々を送っていたが、ある日、雅樹の部下の板
倉正治（吉岡秀隆）という青年が現れる。時子と板倉は急速に距離を縮めてい
く……。
＜レビュー＞
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不倫劇を通して描く昭和という激動の時代
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名匠・山田洋次監督が中島京子の第143回直木賞受賞作を映画化しました。昭和
初期から太平洋戦争にかけて、ある家で起きた出来事を女中の目から描いてい
ます。
その女中の名は布宮タキ。冒頭は彼女の火葬シーン。独身のまま亡くなったこ
とが明らかにされます。
そこから時間がさかのぼって、生前のタキが親類の大学生の健史に勧められて
自叙伝を書くシーンと、その自叙伝の中の出来事が並行して描かれます。その
自叙伝には、タキが隠していたある秘密が描かれているのでした。
その秘密とは何か。早い話が、彼女が女中をしていた家の奥さまの不倫話です。
おもちゃ会社で常務を務める旦那の部下と奥様が、仲良くなってしまいます。
とはいえ、このドラマはただの不倫ドラマではありません。舞台となる時代は
どんどん戦争の足音が大きくなっていった時代。そんな中、奥様の不倫劇を通
して、庶民が戦争に翻弄され、ささやかな日常の営み（恋愛も含めて）を壊さ
れていくようすを描いているのがこの映画。声高に反戦を叫ぶのではなく、こ
うした切り口で戦争を描いているところが、いかにも山田洋次監督らしいです
ね。
ただし、ドラマの核になる不倫劇は何だか物足りません。松たか子演じる奥様
と、吉岡秀隆演じる不倫相手を見ていても、あんまり不倫している雰囲気はナ
シ。背徳の香りがしないんですよねぇ。当時の日本では、今よりもっとヤバか
ったはずなのに。
２人の苦悩もリアルに伝わりません。山田監督って、こういうのを描くのは苦
手なのかもしれませんね。ここが、この映画の致命的な欠陥だと思います。
ラストもバタバタと都合よすぎる感じ。それでも、山田監督らしいヒューマニ
ズムは感じられるし、反戦のメッセージも明確。そういう意味で、山田監督ら
しさはそれなりに発揮されている映画だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
（77点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年1月25日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時の回
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